「すべらない話BAR」に行ってみた、下ネタから人生教訓まで語らう夜。

2015/05/13 20:42 Written by Narinari.com編集部

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4月30日木曜日の夜。すでに休みに入った会社もあり、世間はGWムード。今宵、1夜限りの「すべらない話BAR」が開かれるというので、愛宕神社裏の「リトルトーキョー」に向かった。東京・虎ノ門駅から徒歩5分。クラシカルだけどモダンな建物。もとはお寿司屋さんだったものを改装したそうだ。

○素人に『すべらない話』なんて出来るのか?

すべらない話といえば、もちろん「人志松本のすべらない話」。ダウンタウンの松本人志がサイコロをふって、出目に当たった芸人が「すべらない話」を披露するという番組だ。ライトなお笑いファンの筆者でも何度か見たことがある。

どうやら本日の「すべらない話BAR」にサイコロシステムはないようだ。当日用意された「すべらない話メニュー」の中から気に入ったものを選び、そのネタを持ちよった話し手から聞かせてもらうというシステムらしい。

どんな話し手にどんな話が聞けるのか? と期待しつつも、芸人でもハードルの高いこの企画、失礼ながら素人で大丈夫なのだろうか? 面白ネタを1個も持っていない自分を棚にあげ、そんなことを考えながらお店に入った。19時すぎ入店すると、バーカウンターは既にお客さんでいっぱい。

リトルトーキョーは、日本仕事百貨とgreenz.jpが共同で作ったコミュニティスペース。「新しい生き方を見つけられる場所」として、誰でも自由に憧れの職業に就くことが出来る大人のための仮想の「まち」なのだ。

例えば昔は靴職人になりたかったけど、今は会社員をやっている……という人でも、リトルトーキョーの市民になれば、土日限定で靴職人になることができる。子どもだけで「まち」をつくる「ミニ・ミュンヘン」やその日本版の「ミニ・大阪」からヒントを得ているそうだ。敷地内には1坪の本屋もあり「仕事」や「働き方」に関する本が揃う。
 

「まち」といえば、人が集まり酒を飲み語るためのBARは必須。リトルトーキョーでは、さまざまな分野で働いている人をバーテンダーとして呼び、気軽にお酒を飲みながら話が聞ける「しごとバー」を開催している。
 
今回のバーテンダーは、日本エクストリーム出社協会代表の天谷窓大さん。エクストリーム出社を企画運営している方だ。昨年「サラリーマンは早朝旅行をしよう! 平日朝からとことん遊ぶ『エクストリーム出社』」を上梓し、エクストリーム出社はTVや雑誌などでも紹介されている。
 

「エクストリーム出社とは、早朝から観光、海水浴、登山などのアクティビティをこなしたのち、定刻までに出社をするエクストリームスポーツである。このスポーツのプレイヤーは、一般的な通勤者と区別して、出社ニストと呼ばれる。」(日本エクストリーム出社協会のWebサイトより抜粋)
 
筆者も一度、朝から図書室でクラフトビールを楽しむという素敵イベント「エクストリーム休暇」に、参加させていただいた。早起きして朝から飲むビール美味しく、取材を忘れて楽しませていただいた。そんな天谷さんが主宰するイベントだ。なにやらおもしろい話が聞けそうな予感。

「しごとバー」がない日は、BARジャノメとして通常営業も行われている。まずは、カウンターでお酒の注文。ビール、焼酎、泡盛、日本酒、ウイスキー、スピリッツ、カクテル、ソフトドリンク。一通りそろっている。ひとまず生ビール600円を注文。
 

とりあえず、乾杯! お話をツマミに美味しいお酒をいただく。カウンターには、お話のメニューが2枚、タイトルだけがズラッと並ぶ。話は全部で48個。面白そうなタイトルがいくつもある。(以下抜粋)
 
・炊飯器で生キャラメルをつくる
・天谷窓大の東京都北区赤羽
・弾丸ハワイ旅行からエクストリーム出社
・はじめての強盗
・Facebook+グーグルストリートビュー=○○○
・箱根の山奥に置き去りにされる
・クリスマスの夜、カップルから合法的にお金を巻き上げた話
・おっさんと一緒に心中しかけた話
・横浜駅から歩いて軽井沢に行った
・何を頼んでも唐辛子山盛りのお店
・歌舞伎町で7万円ぼったくられた話
・足を開いたら逮捕
・鍵の救急車。まさかのギブアップ宣言
 

すべてが実話だそう。いろいろ面白そうなタイトルがあって迷う。中には強盗とか、金を巻きあげるとか、物騒なネタもある。天谷さんに、本日のオススメ話を聞いてみた。「天谷窓大の東京都北区赤羽です!」とまずはご本人の持ちネタ押し。
 
ちなみに天谷さんは7年前、2年間ほど北区赤羽に住んでいたとか。「山田孝之の東京都北区赤羽」(原作は、清野とおるの実録エッセイ漫画「東京都北区赤羽」)に負けないネタをお持ちのはず! 期待は高まる。

本日のお客さま、就職活動中の学生さんが多かった。19時半くらいから、バーカウンターが混んできた。奥の広いスペースへ移動。大テーブルが3つあり、囲むようにして椅子が並ぶ。自然と人が集まりやすい形になっている。

ところで、まだ誰もすべらない話をオーダーしていない。お酒を飲みつつ雑談をしているのは、就職活動中の学生さんと会社員の方。みなさんリトルトーキョーには、何度か足を運んでいるのだそう。就活中の女性は、自分の世界を広げたいと思い、参加している、とのことだった。
 

他にも男性2人組の就活中の学生が「就活ばかりやっているとどんどん視野が狭まる気がする。こういう場でいろんな人に出会い、話しを聞きたい」と話してくれた。みんな真剣に将来を考えている。あまりマジメに生きてこなかった筆者としては、眩しい姿だ。
 
そんな雑談をしているうちに、美人女性が目の前にいらした。胸に本日の話し手の目印となる名札がある。いい感じでほろ酔いになってきたところで、そろそろすべらないお話をオーダーしたい。


○いよいよ“すべらない話”オーダー。いきなりスゴイ下ネタが来た(笑)
 

お話をしてくれたのはカスタネット瞳さん(仮名)。高校時代を海外で過ごし、現在は翻訳関係のお仕事などされているそうだ。メニューの中だと以下の話題が持ちネタではないかと推測。
 
・Facebook+グーグルストリートビュー=○○○
・ノルウエー人の名前
・「ザッツイナフ。アイドンウォントゥXXXX」

お酒1杯目で聞くのもハードな内容かもと思いつつ、いくつか聞かせていただいた。(※編集部注:ちょっと刺激的なお話なので、一部伏字にしております)

・「ザッツイナフ。アイドンウォントゥ XXXX」

ベルギー人の男性を好きになり、猛烈アタックしていたときのお話。2人でオランダ旅行に行くことになって……。あとは想像におまかせします。赤裸々トークに大笑いさせていただいた。
 
・Facebook+グーグルストリートビュー=○○○

道ならぬ恋をしていたときのお話。相手のついた嘘がFacebookにより発覚。Facebookにアップされた写真と、Twitterなどから追跡を開始。インターネットを駆使し、自宅にいながら2時間ほどかけて、グーグルのストリートビューで相手の家をつきとめた。カッとなった勢いで相手を追い詰めてしまい……。この先もご想像どおりでよろしいかと。

「謝罪ではなく、補填だ!!」と叫んでおられたのが印象的だった。女性の欲望も切実なのです。それにしてもインターネットって恐い。

序盤から、いきいなり下ネタから頼んでしまった不粋な筆者を許してほしい。各テーブルを見てみると何人かで話し手を囲みながら、それぞれに盛りあがっている。
 

途中で席替えもある。次に男性の話し手、山本さんのお話を聞けた。山本さんは、天谷さんが主催するエクストリーム出社イベントの常連さんのよう。

話のリストにはなかったものの、行き先をいつも言わない奥様との旅行の話が面白かった。
 
・弾丸ハワイ旅行からエクストリーム出社
・真冬の滝行なエクストリーム休日
・マスコミで話題?! サッカーW杯でエクストリームな休暇制度
 
などが持ちネタ。「せっかくなのでタイトルにないお話をします」と言って話してくれたのが、“世間は狭い”という話。
 
・旅行先のグアムで、結婚式を挙げている見知らぬ人たちに手振った。帰国後、出会った人が、その結婚式の招待客で、手を振っていた人たちの中の一人だった。

・合コンで口説いていた女性が、次の日朝から仕事があると早く帰ってしまった。次の日会社に行ったら、打ち合わせ相手がその彼女だった。

・元カノの今カレが、自分と同じ結婚式に出席していたことが、記念写真経由で発覚。

「旅の恥はかき捨て」も通用しない世の中である。「イッツアスモールワールドですね」と学生さん。 あるある話だが、ここまで続くことはそうはないだろう。同行ライターも、そういえば……と、初めての打ち合わせで会った仕事相手が、元カレだった話を披露。Facebookの友人が、全然関係ない別の友人とつながっていることもよくある話。「転職しても、知らない土地に行っても、どこかで繋がっているし、誰かしら見ています」と山本さん。今いる場所を大切に、というメッセージともとれる。良い人生教訓いただいた。

その日は時間が足りず聞けなかった「天谷窓大の東京都北区赤羽」も、後日メールでリクエストし、教えていただいた。

7年前荒川沿いの志茂というエリアで一人暮らしをしていた天谷さん。北区赤羽から歩いて20分。そこは「昔ながらの暖かい下町と、魑魅魍魎のような変な人が入り交じる不思議な場所だった」そうだ。

ここからは、天谷さんのお話。

※※※ ※※※ ※※※

○スナック「マカロニ」の思い出
 
「山田孝之の…」にも登場するお店なのですが、赤羽駅から10分ほど歩いた丘の上になぜか「マカロニ」という名前のスナックがあります。(どこかの部族の言葉で「おいしい」という意味なのだそうで…)
一見するとよくある極普通のスナックなのですが、店のカラオケにビデオミキサーがつないであり、お客が歌っていると、テレビに流れるカラオケビデオにそのお客さんの歌う姿を合成して流すという、はためにはありがた迷惑としか思えないサービスで、地元民からはナニコレ珍百景的な扱いを受けていました。
僕はこのお店の雰囲気が好きで何度か行ったのですが酒の席が盛り上がると、マスターがお客さんたちを店の2階へと案内するのです。
階段をあがった先に見えたのは10畳ほどの座敷とそこにぽつねんと鎮座する「輪投げ」。
仲良くなったお客さんとは輪投げをして親交を深める、というのがこの店のマスターの流儀で、行くたび、次の日仕事があっても、夜中の2時ごろまで地元のおじさん(この日が初対面の知らない人)と一緒に輪投げに興じることになるのでした。(でも、思いのほか楽しかった…)
 
筆者も北区在住だが、赤羽の「マカロニ」にはまだ行ったことがない。なんだか入りづらい雰囲気ではある。深夜の「輪投げ」という新しい世界があるのなら、入ってみるのも悪くない。
 

なぜ「すべらないBAR」をやることにしたのか、天谷さんに聞いてみた。

天谷さん「リトルトーキョーでBARをやってみたかったんです。すべらない話メニューがあれば初めて会った人同士でも、その話をきっかけに話しやすくなるかなと思いました」。

すべらない話はあくまでも会話のきっかけ。プロの話芸をテレビで見るのもいいけど、ああだこうだと言いあいながら、みんなで場をつくるのもまた楽しい。自分にも何か一つくらいすべらない話ネタがあるはず、と考えながらお店をでた。次回があれば、ぜひお土産話を持参したい。 

※この記事は、情報サイト「イベニア」編集部(文・写真 橋村望)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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