蛙嫌いがカエルバーガーに挑戦、「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」みなとみらいへGO。

2015/04/26 20:49 Written by Narinari.com編集部

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“毒を持つ生き物”を紹介する、セガ×サンシャイン水族館による特別展「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」(もうどく展)が、現在、みなとみらいで開催されている(〜5月17日)。2014年夏にサンシャイン水族館で開催された際は、約20万人を集客した大人気イベントだ。

毒が9つ並んだタイトルロゴと、黒と紫を基調にした印象的なポスターは、毒という危険なイメージだが興味深いテーマを、毒々しいビジュアルで表現している。今回の展示では「刺す」「咬(か)む」「中毒」といった多種多様な毒を持つ生き物や、人間を死に至らしめるほどの強力な毒を持つ生き物など、全18の水槽で27種類を紹介している。

【注意】人によっては苦手な生き物の写真もあるかもしれません。後半はカエル、サソリ、クモなども登場しますのでご注意ください。


◎キレイで、カワイイ! でも油断は禁物!

会場には、生き物が持っている毒についての解説があり、毒の種類、タイプ、毒がある部位の他、毒のレベルも知ることが出来る。毒レベルは5段階で表記されているが、毒の量や状況によって危険度は変わるようだ。毒レベルが低い=安全ではない。しかもこれらの強さはLD50という、投与した動物の半分が死亡する量をもとにしている。天敵や獲物に対しての毒なので、どの生き物の一番毒が強いというのは一概に言えず、人に毒を投与した場合どうなるかは分からないものもあるという。

“ハナミノカサゴ”は、そのゴージャスな姿から、海の貴婦人とも呼ばれることも。しかし美しいだけでなく、背びれと胸びれに毒があり、性格もなかなか攻撃的なのだとか。まさに“綺麗なバラには棘がある”という代表かもしれない。

“コンゴウフグ”と“ミナミハコフグ”は、水玉模様のミナミハコフグ、ツノがあるコンゴウフグ。どちらも小さくて黄色くて、非常に可愛い。しかし、ハコフグの仲間は皮膚から毒を出すのでご用心。小さいからと言ってあなどれない。


アメコミ風のパネルで、様々な生き物の毒の危険性を説明するエリアもあった。これからの季節海水浴に行く人も増えるだろう。ぜひここで海の生き物の危険性を知っておきたい。

“オニダルマオコゼ”は、岩と間違えて踏むと危険! 長く鋭い毒トゲはダイビングブーツすら貫通してしまうらしい。

アイゴの仲間は背びれのトゲに毒がある。釣りをする人も注意が必要だ。

内容は結構ショッキングだが、危険性を分かりやすくコミカルに伝えている。絵がメインなので子どもでも理解しやすいはず。

“ヒョウモンダコ”は黄色地に紫色の水玉が美しい。大きさも5cmほどで非常に可愛らしい。思わず連れて帰って水槽で飼いたくなってしまうが、フグと同じテトロドトキシンという毒を持っている。なんと3かみで7人を麻痺・死亡させるレベルの毒だ。カワイイからと言ってあなどってはいけない。

“オニヒトデ”は全身を覆うトゲに毒がある。裸足で踏みたくない生物ランキングがあれば、間違いなく上位に入るだろう。サンゴを食べてしまうことでも知られている。そう聞くと何となく悪そうな奴に見えてしまうが、通常は成長が早いサンゴを齧るのでサンゴ礁の多様性を維持する役目も果たしているのだとか。

フグの仲間には、ユーモラスな表情の“コクテンフグ”“キタマクラ”というインパクトある名前のフグも。フグは青酸カリのおよそ1,000倍とも言われる毒を持つ。それにしても「北枕」なんて不吉な名前だ……。「フグ目フグ亜目フグ科キタマクラ属」らしい。絶対に食べたいとは思わない。

“アナゴ”は意外と知られていないが、血液に毒が含まれている。そんな機会はないと思うが、生血を大量に飲むと危険らしい。もし自分で調理する場合は60度、5分以上の過熱をすること。

“クマノミ”と言えばイソギンチャク。イソギンチャクの触手には「刺胞」という毒針を出す細胞があるが、クマノミは身体の表面から特殊な粘液を出しており、刺されることはない。イソギンチャクはクマノミにとっては安心な「毒の家」だ。


◎水の生き物だけじゃない! ヤバイ毒を持った動植物たち。

“マンドレイク”はマンドラゴラとも言う。ファンタジーでもお馴染みの伝説の植物だ。引き抜くときの叫び声を聞くと死ぬと言われるが実在したとは! ちなみに、抜くときに被害にあったという例はないようだが、中毒を起こす毒を持つ。

“キョウチクトウ”は、花、葉、枝、根、果実まで毒があり、さらには周りの土まで毒で汚染し腐葉土にしても一年は毒性があるという。青酸カリより毒性があるとか、キョウチクトウを使った殺人事件があったとか、かなり危険な植物。花言葉は「注意」「危険な愛」「用心」「油断大敵」「危険」……。ヒェーッ、やっぱりヤバそう。しかし、花はとても美しい。恐いものだけではなく「美しき善良」「恵まれた人」「友情」などの花言葉もある。

“スローロリス”はまんまるで大きな目、ゆっくりとした動作で最近人気のサルの仲間だ。しかし、こんな可愛いスローロリスにも毒がある。リンパ節から毒を分泌し、それらを舐めて唾液に毒を含ませて毛づくろいをすることで、全身に毒を広げる。毒のレベルも種類も不明とのこと。短くて柔らかそうな毛並を触ってみたいのに毒があるなんて……! とショックだったが、ペットとして飼っている人もいる。身を守るための毒なので比較的安心なのだろうか。 夜行性のため昼間はあまり動かないそうだが、この日はまだ午前中のためか、かなり活発に動いていた。地面を歩いたり、木の枝によじ登ったり。ゆっくりとした動作がとても可愛い。毒があってもいいから飼いたくなってしまう。



“ジュウジメドクアマガエル”は、背中から乳液上の白い毒液を出すため、ミルキーフロッグとも呼ばれる。 

名前の由来は目の虹彩に十字が入っているように見えることから。筆者はカエルが大嫌いなので、寄って見るのは結構厳しいものがあるが、くりくりした目がカワイイと言えないこともない。スモーキーな水色の迷彩模様がオシャレと言えないこともない。

“チャグロサソリ”は世界最大級のサソリ。毒性は比較的弱いらしいが、扱いには注意が必要。毒の有無に関係なく、見た目のインパクトがすごい。サソリを見ていたカップルの女性は「すごーい!」とガラスに顔を近付けていたのに対し、男性が引きつった顔で一歩後ずさっていた姿が印象的だった。スタッフの方曰く、女性の方が興味を持って見ていることが多いそうだ。

“ゴライアスバードイーター”は世界最大級のクモ。大人の女性の手のひらと同じくらいの大きさ。体中に毛が生えている。ここまで大きくてモフモフだと、あまり怖くはない。

フワフワでまるでぬいぐるみのようだが、この毛が危険。腹部に細かい毒毛があり、危険を感じるとこれを蹴ってまき散らす。目や粘膜に付着すると猛烈な痛みを感じるらしい。さらに大きなアゴで噛まれるとかなり痛いらしい。

おみやげコーナーにも“毒が魅力の生き物”たちがいた。個人的なイチオシはゴライアスバードイーターぬいぐるみ。つぶらな眼がカワイイ!

マニアックなカプセルトイも充実していた。


◎カエルが大嫌い! しかし、勇気を振り絞って特別なアレを食べてみた。

「もうどく展」の同フロアにある「オービィ横浜」 内のカフェでは、もうどく展の開催を記念してスペシャルメニューを味わうことが出来る。カフェの利用にはオービィ横浜の入場料が必要だが、お得なセット券があるのでぜひ利用したい。

フロッグバーガー 〜ドリンク付き〜 1,000円(税込)※数量限定

キター!! 想像以上に大きい。足がお皿から元気良くはみ出している。食用ガエルを使っているそうだ。真っ黒なバンズも衝撃的だが、それ以上に「カエルの下半身そのもの」なビジュアルで、カエル嫌いにとってはツライものがある。あまりにリアルすぎるためか、作りものだと思って「これはどうやって作っているのですか?」と聞くお客さんもいるとか。

筋肉がすごい……。“足”感がすごい……。これでぴょんぴょんしてたんだろうなぁ。

意を決し「いただきます!」。ナイフを入れるとお肉はすんなりと骨から外れた。思い切って口に入れると、サクサクとした衣の奥に歯ごたえのあるお肉。固くはないが噛み応えがあり、噛みしめるとお肉のうまみが出てくる。

先ほど見た同じカエルの仲間「ジュウジメドクアマガエル」のつぶらな瞳が脳裏をよぎり、一瞬「うぐっ」となったが、何とか飲みこんだ。

カエルという事を意識しなければ、大変美味しくいただける。ちなみにバンズの下には鶏肉のフライも入っており、カエル肉との味わいの違いを楽しめる。比較的大きいカエルちゃんが使われており、噛み応えもあるのでかなり胸がいっぱい……、いや、満腹感が得られる。

カエルの卵?! スイーツ 580円(税込)

最近オシャレスーパーや、コンビニでも見かける「バジルシード」。瓶にツブツブがいっぱい詰まっている様子を見て、思わずぞくっとした経験があるが、お皿に出してもそのインパクトは健在。白い部分は杏仁豆腐、茶色い部分は薄く焼いたクレープを砕いたもの。

産卵を終えて、岸に上がろうとしているカエルの姿がリアルに表現されている。この一皿に“命のつながり”が表現されていると言っても過言ではない!? これらのちょっと変わったメニュー、想像以上にオーダーが入っているらしい。意外にも注文するのは女性が多いのだとか。数量限定のものもあるのでお早めに。

最後にサンシャイン水族館・次長、二見武史さんにお話を伺った。

○大変だったことは何でしょうか?

二見さん:水族館以外でこうした展示を行うには、様々な準備や管理が必要となります。特に震災以降は耐荷重量などについて規制が厳しくなりました。水がこぼれないようにしたり、防水処理をしたりすることはもちろん、生き物たちの体調管理にも気をつけなくてはなりません。


○今回扱っている中で、一番気を使っている生き物は?

二見さん:スローロリスです。元々私達は魚やエビ・カニが専門なので、まだ慣れていないということもありますし、哺乳類はまた世話の仕方が違いますから。薬の調合などは獣医さんにお願いしています。ただ、常に滞在しているわけではないので、その日その日の状況をしっかり観察しています。少しの異変が重篤につながってしまう可能性もあるので、一瞬の変化も見逃せませんね。

あとはサソリです。ちょっと腰が引けてしまうところもありますが、それ以上に怖いのは生き物が逃げてしまう事です。生き物は全部危険なのですが、今回は特に毒を持った生き物ですからね。人に危害を加える可能性もありますし、生き物自身が傷ついてしまう恐れもあります。一瞬で素早く逃げてしまうので、サソリなどのケースは万が一の場合を想定して二重になっています。


○見どころについて

二見さん:“毒”自体は実は珍しいテーマではないんです。とはいえ、昔は今ほど流通が発達していなかったので、大体どこも同じような内容だったんですけどね。ただ、誰もが興味を持つテーマで、今らしい見せ方をしようということになりました。

同じ毒をテーマにしても、どういう風に興味を持ってもらうかが大切だと考えています。水族館を学習の場ととらえる人も多いのですが、学校のように勉強や情報を詰め込むいうより、水族館は生き物と出会うファーストステップの場所だと考えています。どこで本物の生き物を見るかと言うと、圧倒的に水族館で見る子供達が多いのです。そこでは情報を詰め込むよりも、興味を持って楽しむきっかけになればと思います。


○生き物は全部好きかと思いますが、今回の展示で特にお気に入りの生き物がいたら教えてください。

二見さん:カエルが好きです。あとはヒョウモンダコも可愛いですね。


○カエルのメニューがありますが、食べることで心が痛みませんか?

二見さん:大丈夫ですよ。何度か食べたこともあります。僕は魚も好きですが、そんなこと言ってたら魚も食べられなくなっちゃいますからね(笑)。漁師さんの船に乗せてもらって、市場に出回らない魚を食べることもあります。

最初は怖いもの見たさだったが、展示を見るうちに毒を持つことの意味を考えるようになった。情報や映像はすぐに手に入る時代だが、実際に目の前で色々な生き物が動いている様子を見られるのは貴重な機会だ。

毒を持つ生き物たちは、エサを捕まえるため、自分の身を守るため。生きるために毒を持っている。怖いイメージもあるが、危害を加えたり、不用意に触ったりしなければさほど危険ではない。また、毒のある生き物に擬態することで身を守る生き物も多い。

生きるための毒、むやみに怖がるのではなくきちんと知ることはとても大切だ。毒を持った生き物は危険だがとても魅力的だった。

※この記事は、情報サイト「イベニア」編集部(文・写真 篠崎夏美)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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