阪神の星野仙一SDが残留の意向を表明。

2005/09/10 16:29 Written by コジマ

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週刊誌や夕刊紙で報じられて以来、 ここ1か月ほど世間を賑わせてきた阪神・星野仙一オーナー付シニアディレクター(SD)の巨人監督就任騒動。「巨人・滝鼻卓雄オーナーが阪神・手塚昌利オーナーと会談した」「星野SDに接触して年俸10億円が提示された」などの噂がまことしやかに囁かれていたのだけれど、シーズン中、しかも阪神が中日と熾烈な首位争いをしている最中ということもあって、この騒動に終止符を打つべく、星野SDが10日、大阪市内のホテルで異例の記者会見を開いたのだ。

星野SDは「勝手な報道ばかりが進んで…」「報道を沈静化したかった」と過熱する報道に苦言を呈したあと、巨人からの監督就任要請がなかったことを強調し、「来シーズン、ほかの球団のユニフォームを着る可能性はあるのか」との質問に「それはない」と答えたのだ。この決断に至った経緯として、「(事態を)沈静化するのが目的だが(残留を望む)ファンの声も響いた」としているのだ。また、阪神SD続投については、「そういう形に恐らくなると思う」と回答。確定ではないけれど、一歩前進なのだ。

過熱する報道、ファンだけでなくプロ野球関係者まで就任を望む声、年俸10億円、長嶋茂雄・巨人終身名誉監督と王貞治・ソフトバンク監督の推奨などから、星野SDの巨人監督就任は不可避と半ば諦めていただけに、今回の発表は嬉しかったのだ。ぼくが嫌だったのは、「巨人監督就任」ではなく、「監督業復帰」。もともと阪神は中日から星野SDを“強奪”したわけだし、アンチ巨人は貫いては欲しかったけど、阪神ファンとしては他球団の監督就任には何も文句を言えないと思っているのだ。でも、そもそも阪神の監督を退いた理由は、「体調不良」のはず。もし「回復」したのならそういうことも発表してほしいし(額面通り受け止めて、星野SDの身体を心配したことが多々あったのだ)、今回の発表の前に「要請を受けてない」というだけで、就任の可能性については明確に否定しなかったので、そんな態度で阪神を去るのは嫌だなあと感じてしたのだ。

とにかく、この会見で阪神ファンはひと安心。「もし巨人に行っていたら『星野さんを返せ』と言っていた」という中学1年生や、「阪神に残ってくれると信じていたし、巨人には行ってほしくはなかった。やっぱり巨人の監督には原さんがなった方がいい」と笑顔で答える主婦、「チームが優勝に向けて進んでいる時期。大きな影響が出なくて良かった」と胸をなで下ろす会社員の声などが報じられているのだ。一方、巨人ファンのなかにも「星野さんはアンチ巨人を貫くべきで、巨人の監督を引き受けないのは正解。次の監督には前監督の原さんが適任だと思う。今の戦力で任されている堀内監督は少し気の毒な気がする」、「これでよかった。来ても巨人のOBにつぶされるよ」との声が聞かれるなか、巨人ファンに限らず、多くの野球ファンが思ったであろう「星野さんが巨人をどう立て直すかちょっと見てみたい気もした」との意見も。

星野SDは今回の残留表明を、こういったファンの声に応えたとしながら、「球界のことを考えると苦しいけど…」ともつぶやいたそうなのだ。また、将来的な監督就任の可能性について「(わたしは)野球人だから、タイミングというものでしょう。今がいいタイミングじゃなかったということ」と、やはり現場復帰は本人も希望しているみたい。「巨人のユニホームが似合うか、想像はしましたか」と訊かれ、「おれはどんなユニホームも似合うよ。背広よりもな」と答えてるし。

今回の騒動について、星野SDは自身の公式サイトでも「独特な状況が重なり合っている際には『寡黙』であらねばならない時があるものだ。そういうふうに捉えていてはもらえないだろうか」(9日付の日記)と苦言を呈していた。また中国の故事を例に挙げてから、「すべからくことの表面ばかり見ず、目立つものに惑わされず、ものごとの真実、人間や社会の真実、真相というものを深く見抜く知力や感性をしっかり磨きなさいという教訓のひとつだったように思う。大切な、本当の判断の基準をどこにおくか。それによって人間自体も、人間の奥深い技量も問われるという戒めのひとつだという意味だろう」。われわれマスコミ関係者はこの言葉を肝に銘じなければならないのだ。「あれこれというより、むちゃくちゃに話題、憶測が先行するなかで、そうしたこともふと思い出したりするこの一両日…ということや」。さぞ心苦しかったことだろう。

今回の騒動は騒がれた本人が収拾するという、星野SDの言っていることが本当なら迷惑にもほどがあるのだけれど、これで選手や監督だけでなく、オーナーや社長も野球に集中できるようになったのだ。ドラフトのこともあるし。ここからはチームだけでなく、球団が一丸となって優勝を目指してほしいのだ。

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