五輪最終選考会惨敗の高橋尚子選手、手術や五輪引退を発表。

2008/03/09 21:46 Written by コジマ

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開幕まで5カ月を切った北京五輪。各競技の選手たちが活躍する姿に思いを馳せながら、開催を心待ちにしている人も多いのではないだろうか。その中でもメダル獲得が期待されているマラソンへの注目度は高く、選考会にも熱い視線が向けられている。女子では昨夏の世界陸上で3位に入賞した土佐礼子選手(三井住友海上火災保険)のほか、昨年11月の東京国際女子マラソンを大会新記録で優勝したアテネ五輪の覇者、野口みずき選手(シスメックス)が内定。事実上残り1人となっていた。

北京五輪代表選考会第2ラウンドである1月の大阪国際女子マラソンでは、期待されていたマラソン初挑戦の福士加代子選手(ワコール)が19位に終わり、森本友選手(天満屋)が2時間25分34秒で2位(日本人1位)を獲得。シドニー五輪金メダルの高橋尚子選手(ファイテン)をはじめ、坂本直子選手(天満屋)、弘山晴美選手(資生堂)ら有力選手が出場する代表選考会第3ラウンド、名古屋国際女子マラソンの結果待ちとなっていた。

森本選手とのタイムが大幅に違わない限り名古屋で優勝した有力選手が代表に選ばれることは確実で、有力外国人選手が出場しないことから大きな注目を浴びていたのだ。ただ、自己ベスト2時間19分46秒で参加選手中トップの高橋選手は試合前に「ハプニングは山ほど。また試合が終わったら(言います)」(スポーツニッポンより)と気になる発言をしていた。

こうして始まったレースでは、スタート直後から先頭集団にいた優勝候補筆頭の高橋選手が9キロ付近から失速。先頭集団は坂本選手や堀江知佳選手(アルゼ)らのデッドヒートが繰り広げられるなど、大混戦なった。その中で、32キロ付近でトップに立った招待選手中最年少(21歳)の中村友梨香選手(天満屋)が、初マラソンにして2時間25分51秒の好タイムで優勝。「高橋にとって一番怖いランナーになるかもしれないな」(東京中日スポーツより)という高橋選手の師匠、小出義雄氏の予想が的中したのだ。

2位は一般参加の尾崎好美選手(第一生命)で、大阪国際女子マラソンで途中棄権した加納由理選手(セカンドウィンドAC)が3位となり、弘山選手は9位、坂本選手は10位。高橋選手は27位で、代表選出が絶望的となった。

その高橋選手がレース後の会見で、昨夏に合宿先の米ボルダーで右ひざの半月板を半分切除する手術を受けていたことを明かしたのだ。しかし、これを敗戦の言い訳にはしておらず、「これがいまの実力。ここまで走れないとは思ってなかった。体が動かず、おかしいなと思いながら走っていた。実戦不足、スピード練習をしていなかったので速さに対応できなかった」(産経新聞より)とし、代表選手に対して「代表として重い負担を抱えず、楽しんでほしい」(同)とエールを送っている。

半月板の故障は5年前から抱えていたこと、スピード練習ができなかったことなども明かした高橋選手。今後については「陸上生活は続けます。4年後(のロンドン五輪)は考えられない。でも1個1個の目標があって次がある。言えないが、次の目標は決まっています」(同)と語っている。五輪で走る高橋選手の姿は、もう拝めそうにないのだ。

ここで気になるのが、誰が残り1枠の代表選手に選ばれるかということ。優勝した中村選手は初マラソンで、タイムも大阪国際女子マラソン2位の森本選手より17秒遅く、2位の尾崎選手との差もたった28秒。自己ベスト2時間24分33秒の森本選手を取るのか、はたまた名伯楽の小出氏も注目した新鋭の中村選手を取るのか、難しいところなのだ。

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