メール返信も電車遅延も5分でイライラ、「待てない人」が急増。

2007/11/13 23:01 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


便利になった世の中、何かにつけて待ち時間が減っている。Narinari.comでも中高生の間で携帯電話メールの「5分以内返信」が暗黙のルールとなりつつあることをお伝えしたのだけど、それが中高生だけでなく大人も同じ状況で、さらには電車や病院、レストランなどでも「待てない人」が急増しているそうなのだ。

産経新聞では、メールを送って5分間返信がないとイライラしたり、貧乏ゆすりを始める人、地下鉄に乗ると一駅ごとにメールの問い合わせをする人を紹介している。これはすべて成人で、小中学生に至っては「15分以内に返信がなければ友達ではない」のだとか。携帯電話に縛られる人についてはさまざまなメディアで言及しているので、いまさら驚くことではないけれど、返事を待てずに次々といろんな人にメールを送り、最初の相手への用件を忘れてしまう人もいるというから、かなり流動的な感覚になっているのだ。

さらに、シチズンホールディングスが2003年に首都圏のビジネスパーソン400人を対象に調査を行ったところ、イライラする待ち時間のリミットとして、通勤電車の遅延が5分、総合病院が30分、スーパーやコンビニエンスストアのレジが3分、パソコンが立ち上がるまで1分、インターネットのコンテンツにつながるまでが10秒という回答が最も多かったのだとか。特に通勤電車の遅れが5分でイライラするというのは、10年前と比べて3倍以上になっている。

それだけでなく、ゆったり落ち着いて味わうはずの懐石料理の店でも、料理が出てくるまでの10分や15分が待てずに苦情が出ているそうで、テーブルセッティングのために1、2分待ってほしいという店の申し出に「待てるか!」と怒って帰ってしまう中年男性もいたのだとか。「スローフード」が見直されている昨今だけど、食べるほうが求めていないとしたら、スローフードもファストフード化してしまいそうなのだ。ぼくは食べるのがそんなに早くないので、ビジネス街で昼食をとる際にはかなり窮屈な思いをしてしまうのだけど。

子供が描いた絵に注文をつけるなど、その成長をゆっくりと見守れない親も増えているのだという。これは部下の仕事を見ていられず、何でも自分でやってしまう上司に通じているような気がするのだ。こんなせっかちでは、子供も部下も成長しにくそう。また、ゲームの世界でも、任天堂の岩田聡社長が「ゲームを始める前に数十秒以上の待ち時間が必要ということが、本当につらく感じるようになりました」と語っている。

「江戸っ子はせっかち」だなんてよく言う。屋台が発祥の江戸前寿司や天ぷら、そばなどはファストフードの走りだし、気が短い江戸っ子にとってはいまのハンバーガーやコンビニのおにぎり並に便利なものだったのかもしれない。しかし、岡本綺堂の「半七捕物帳」なんかを読むと、江戸を過ごした人々にとって明治時代の物事の速さは異常に映っていたみたいだし、「待てない」度合いは時代を追うごとに高まっていっているようなのだ。ぼくも都内に住んでいるので、ちょっとした電車の遅れや待ち時間にイライラしてしまうことが多い。心の余裕と我慢強さが失われそうなので、気をつけなければ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.