イチロー外野手が米球宴MVPの快挙、史上初のランニング本塁打も。

2007/07/11 19:31 Written by コジマ

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毎年7月第2週に開催される米大リーグのお祭り、オールスターゲーム。「ミッドサマー・クラシック」(真夏の祭典)の愛称で多くの米国人が楽しみにしており、日本と違って1試合しか行われないため毎年大いに盛り上がるのは、みなさんもご存じのとおり。

7年連続で選出されたシアトル・マリナーズのイチロー外野手のほか、ロサンゼルス・ドジャースの斎藤隆投手、ボストン・レッドソックスの岡島秀樹投手がともに初選出され、日本人選手史上最多タイの3人が出場することになった今年は、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地であるAT&Tパークで日本時間の7月11日に開催されたのだ。

その“前夜祭”では両リーグから4人ずつが参加して本塁打競争が行われたのだけど、前年度優勝者のライアン・ハワード内野手(フィラデルフィア・フィリーズ)が1回戦で敗退するという波乱が起きた。セントルイス・カージナルスの主砲アルバート・プホルス内野手も準決勝で敗れ、結局、決勝でトロント・ブルージェイズのアレックス・リオス外野手を破ったブラジーミル・ゲレロ外野手(ロサンゼルス・エンゼルス)が優勝したのだ。右翼場外のサンフランシスコ湾にはホームランボールをキャッチしようと多くの人がカヌーなどを出して待機していたのだけど、左打者が1回戦で敗退したため打球は飛んでこなかったのだ。

さて、11日の“本祭”では、1番・中堅で先発出場したイチロー外野手が初回にいきなり右前に安打。三回の第2打席でも左前安打を放ち、五回の第3打席で放った右中間フェンス直撃の大飛球が右翼のケン・グリフィー外野手(シンシナティ・レッズ)の目測を誤らせ、米球宴史上初となるランニング本塁打に。日本人選手の球宴での本塁打も初のことなのだ。このランニング本塁打について、イチロー外野手は「(スタンドまで)行ったかと思ったけど、やはりこの球場では(オーバーフェンスは)打てませんね。いやな球場ですね」(中日新聞より)と語っている。

この活躍に対して、ア・リーグの指揮を執ったデトロイト・タイガースのジム・リーランド監督は「あまり喜ばしくない」とコメント。タイガースが後半戦初戦でマリナーズと当たるからなのだけど、「われわれが彼の調子を上げてしまったようなものだ」とし、報道陣を笑わせていたのだ。

イチロー外野手は五回に交代したのだけど、3打数3安打2打点の大活躍により日本人初のMVPに選出された。試合終了後も授賞式でもいつになく上機嫌で、試合後の会見では「楽しかった」を連発。これまでの球宴で15打数3安打という成績を振り返りつつ、「出ることはもちろん意義のあることなのですが、やっぱり選手は結果を出さないと駄目だな、と。これまで6年オールスターに出ていましたが、決して満足のいく状態ではなかった。初めて楽しいオールスターになりました」とし、「日本でもとったことがない。あれだけゲームに出ていながらなかった。最終的にものすごくどきどきさせられたが、生涯忘れられないものになる」(ともに中国新聞より)と、にこやかに語っているのだ。とはいえ、MVP受賞が後半戦に与える影響について聞かれた際には、「個人の力は小さなもの」「僕は自分の仕事をきっちりやっていきたい」(同)と、イチロー外野手らしく謙虚なコメントを残している。

総額1億ドル(約122億円)でマリナーズとの5年間の契約延長がシアトル・タイムズ紙の電子版で報じられたのだけど、これは今年6月にシアトル・ポスト・インテリジェンサー紙が算出した「相場価格」の上限となる。いずれにせよ、ビッグチームに取り込まれず、あと5年間あのユニホームでイチロー外野手の勇姿が見られるのは、うれしいことなのだ。

一方、ナ・リーグ代表に選出された斎藤投手は、七回に7番手として登板し、1回を3者凡退の快投。岡島投手はブルペンでの投球練習はあったものの、登板はなかったのだ。選手を使い果たしたためコミッショナー判断で引き分けとなった02年だったら、岡島投手の勇姿も拝めたのになあ。

試合は、ナ・リーグが一回に先制したものの、イチロー外野手のランニング本塁打によってア・リーグが逆転。九回裏にナ・リーグがアルフォンソ・ソリアーノ(シカゴ・カブス)の2点本塁打(球宴史上初の3球団で本塁打)で1点差まで詰め寄ったのだけど、結局5-4でア・リーグが勝利。ア・リーグは1度の引き分けを挟んで10連勝なのだ。勝利投手は三回から登板したレッドソックスのジョシュ・ベケット投手で、エンゼルスの守護神フランシスコ・ロドリゲス投手にセーブが付いている。

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