国際競争力1位、「幸福度」「親切度」で2位のスイスってどんな国?

2006/11/06 23:57 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


スイスといったらどんなイメージがあるだろうか。世界有数の永世中立国、山岳部隊、福祉国家、時計などの精密機械産業、世界最大のチョコレートメーカー、アルプスの山々、おじいさんと暮らす純真な女の子、凄腕スナイパーへの報酬の振込先――こうしたなかで、近年注目されているのが、国としての価値の高さなのだ。

Narinari.comでもお伝えした通り、世界経済フォーラムの国際競争力ランキング2006年度版で1位、英レスター大学が調査した「国民の幸福度ランキング」で2位、米誌リーダースダイジェストが調査した「世界35都市親切度ランキング」で2位(チューリヒ)となっている。

こうして世界から熱い視線が集まっているスイスとはいったいどういう国なのか、スイス放送協会の国際部門であり、国外に向けてスイスのニュースを発進しているスイスインフォがその実態に迫っているのだ。

国際的なイメージは、
・シベリアのように寒い
・シャイな人が多く、友達になりにくい
・国中に銀行とスキー・リフトが林立している
・外国人が滞在許可証を取るなんて不可能
・物価が高い
・大企業の社長やロックスターでないと在住できない
というものだそう。たしかに、スイスには高級なイメージがあるのだ。

まず気候については、アルプスの山々のせいでとてつもなく寒いイメージがあるけど、夏の気温は38度にもなることもあると“反論”している。そういや、ハイジは半袖だったなあ。また物価も、日本や欧州の国々と比べると突出して高いわけではなく、今年度のエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の調査でも、スイスのチューリヒとジュネーブは、東京、大阪・神戸、パリ、ロンドンより下位となる8、9位にランクされているのだ。

外国人の滞在許可が降りにくいわけではなく、大金持ちでなくても在住できることは、外国人の定住者および短期労働者が全人口の2割にのぼることからも分かる。ただ、チューリヒの外国人エリートが住む地域では、毎週ちゃんと洗車してピカピカにしておかなければならなかったり、日曜日に芝を刈って庭を美しく保たなくてはならかったりと、住人のモラルが重視されているようなのだ。

そのほかのイメージについては回答していないのだけど、スイスインフォは「スイスについて知れば知るほどこの国は確かに住み心地の良い場所になるはずである」とまとめているのだ。

しかし、こうした良い面だけではないようで、環境gooによると、アルプスの山々に囲まれた美しい国というのはもはや絵葉書のなかだけでのことであって、近年は大気汚染や乱開発によって環境汚染が加速しているそうなのだ。

スイス国立科学財団の報告では、大気汚染を原因とする死者が年間3000人にものぼり、そのうち1800人が車の排気ガスのために亡くなっているという。なんでも、スイスはドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、リヒテンシュタインの5カ国と隣接しているため「欧州の十字路」と呼ばれ、山に囲まれているので渋滞が頻繁に起こり、そのため排気ガスがたまりやすいのだとか。

また、美しいアルプスを見るためにロープウェイやリフトが次々に設置されたおかげで環境破壊が進み、動植物の多くが絶滅しただけでなく、森林の後退によって土石流や洪水などの自然災害が拡大しているそうなのだ。

福祉面でも、日本のような公的医療保険制度はなく、自分の判断で民間の保険会社と契約しなければならないという。その支払いシステムも日本のものとは違い、いったん医療費を振り込んでから差額が後日振り込まれるそうなのだ。根本的にどちらが良いのかは分からないけど、一時的にでも支払いの負担がかかる制度は、社会的弱者にとってはつらい制度と言えそう。

こうしてネガティブなところばかり並べてしまったけど、幸福度の高さからいって、住みやすい国であるのはたしか。失業率も3.2%と、日本(4.4%)や米国(5.5%)、EU(8.4%)と比べても格段に低いのが分かる。幸福度ランキングで90位だった日本は、これだけ不利な点があるスイスでもお手本になるのかもしれない。

ちなみに、デイリーポータルZによると、「ゴルゴ13」に登場する「スイス銀行」という名称の銀行は実際にはなく、「スイスのプライベート銀行」という意味だそうなのだ。なぜ「スイス銀行」がもてはやされるのかというと、不良債権がなく、安全な資産管理ができるためなのだとか。ペイオフもなく、金利も日本の銀行より高いというから、興味のある人は、同サイトで「スイス銀行」の口座開設方法を紹介しているので、ぜひご覧あれ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.