「もののけ姫」舞台化の経緯は? テスト映像見て3秒で「やろう!」。

2013/03/06 01:50 Written by Narinari.com編集部

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1997年に公開され、興行収入193億円を記録、当時の日本映画の興行記録を塗り替えたスタジオジブリの代表作の1つ「もののけ姫」が、英国の若手劇団「Whole Hog Theatre」(ホール・ホグ・シアター)により舞台化。「Princess MONONOKE〜もののけ姫〜」として今年5月のゴールデンウィークに来日公演が行われることが決定した。

3月5日に開催された記者発表会ではまず、ホール・ホグ・シアターの創設者であるアレクサンドラ・ルターが、「もののけ姫」の舞台化を考えた理由についてコメント。「まず最初に映画を見たときに、なんて美しい映画なんだろうと感銘を受けた。そして2回目に見たときに『ナゴの守』が祟り神になるシーンをパペットで表現したら素晴らしいと感じ、これを舞台でやったらぴったりと思い舞台化を考えた」と話した。

宮崎駿作品が舞台化されるのは今回が初めてのことで、この点についてスタジオジブリの鈴木敏夫氏は「本当に初めて。宮崎駿作品はハリウッドで映画にしたいですとか、日本のいろいろな劇団からも舞台化したいというお話をいただいていたが、これまでは全部断っていた」とコメント。

また、これまで映画化や舞台化を断っていたジブリが今回の舞台化を許諾した理由について鈴木氏は「僕らの友人に、『ウォレスとグルミット』を作ったニック・パークさんという方がいる。その人の会社はイギリスのブリストルにあり、ジブリと友人関係にあるアニメーションスタジオ。とある日に彼からメールがきて、『もののけ姫』を舞台化したいという話をもらったのがきっかけだった。彼からは『舞台化を考えているのは若い劇団だが、非常に信頼ができる。テスト映像をぜひ見て欲しい』と連絡があった。それで、宮崎駿といっしょにテスト映像を見たら、ものの3秒くらい見たところで、宮崎駿は『いいよ!やろう!』となった。直感だったと思う。テスト映像のダンスが素晴らしく、ニックの紹介でもあるし、これならやろうと許諾をした次第です」と、許諾の経緯を明かした。

太古の日本を舞台にしたアニメ作品「もののけ姫」を舞台化するにあたって、最も注目されるのは、やはり、もののけたちをいかに舞台で表現するかというところ。実際の舞台ではパペットを使ってもののけを表現するといい、アレクサンドラは「シシ神、祟り神、動物は、すべてパペットで表現しようと考えている。大きなものは、3〜4人の人間でひとつのパペットを操る。パペットと役者が入り交じり、生き生きとした命の吹き込まれたステージになると信じている」とコメントした。

そして「舞台化についてジブリがどれだけ関わるのか?」との質問が飛ぶと、鈴木氏は「舞台化を許諾するというのは相手を100%信頼することだと思う。途中でシナリオを見せてくれというのは信頼じゃない、全部任せるという意味」と話し、ホール・ホグ・シアターに対する信頼感を示した。

発表会の最後にメッセージを求められると、アレクサンドラは「宮崎さん、鈴木さん、100%私たちのことを信頼していただいてありがとう。品格のある公演を目指します」と意気込みを語った。

また、鈴木氏は「誤解を恐れずに言うと、変なもののけ姫を見てみたい。それは、イギリスの人たちがもののけ姫をみてどう思ったのか、それをそっくりそのまま舞台で示して欲しい。国の文化交流は本当におもしろいので、こじんまりとまとまったものではなくて、破綻をきたしてもいいから、おもしろい舞台を見たいです」と締めくくった。

発表会後のフォトセッションでは、パペットなどの舞台美術を担当するポリー・クレア・ブーンも登場し、製作途中という「コダマ」のパペットを披露した。

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