世界3番目のユニクログローバル旗艦店「パリ オペラ店」に行ってみた。

2009/10/02 09:53 Written by Narinari.com編集部

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ニューヨーク、ロンドンに続く世界3番目のグローバル旗艦店として、10月1日、パリに「ユニクロ パリ オペラ店」が大々的にオープンした。パリでは、2007年12月に試験的な店舗をオープンさせ、今年7月には期間限定店舗「UNIQLO POP UP Store」、8月には有名セレクトショップ「コレット」内にショップインショップ展開と着実にステップを上り、ついにオープンしたのが、初の本格店にして旗艦店となる「パリ オペラ店」だ。“ファッションの都”パリでユニクロは受け入れられるのか、日本だけでなく、フランスでもその注目度は高い。

今回、この「パリ オペラ店」の開店あわせ、ナリナリドットコムのフランス特派員が潜入。その熱気を肌で感じてきた。

開店前の「パリ オペラ店」には800人の行列ができたと伝えられるほどの人、人、人……。開店後もレジには長蛇の列ができ、待ち時間は最長で1時間以上にもなる混雑ぶりだ。現地で200人程度採用されたという店員はとても感じが良く、接客の教育が行き届いている印象を受けた。

店内デザインのディレクションを担当したのは、「ユニクロ ソーホー ニューヨーク店」も手がけている佐藤可士和氏。客動線については少し不安になるところもあるものの、「JAPAN TECHNOLOGY」を強く前面に押し出した近年稀に見るやり口や、回転するマネキンなど、かなりインパクトがある。天窓があり、吹き抜けとなっている店内は明るく、基本的に暗いブティックが多いパリにおいては珍しい作りだ。日本でもおなじみの「UNIQLOCK」、モデルの杏の写真が満載のPR紙配布など、店内プロモーションには日本でもおなじみのものが並んでいる。

オープンに合わせた目玉商品は9.9ユーロ(約1,300円)のジーンズと、49.9ユーロ(約6,500円)の男物カシミヤセーター、39.9ユーロ(約5,200円)の女物カシミヤセーターだったが、それ以外の商品も数多く手に取られていた。また、「キャプテン翼(Olive et Tom)」や「ゲゲゲの鬼太郎」のTシャツなども。ちなみにフランスでは、墨絵文化や浮世絵のような雰囲気を持ち、“バンド・デシネ”と呼ばれる劇画に近い構成力がある「ゲゲゲの鬼太郎」への評価が高い。今回、「パリ オペラ店」で商品を購入したところ、買い物袋の裏面には鬼太郎があしらわれていた。

ファッション的に注目されているのは、世界的なデザイナーであるジル・サンダー女史がコンサルタントに就いている点だ。ジル・サンダー女史は、モードの世界で“最も男前”と言われ、一言で言うと“ミニマリズム”という言葉で表現されている人物。ほとんど同じような作りなのに、ボタンの数や折り返しを少し変えることで面白みを出したり、色も白黒が基本という、シンプル、機能美、墨絵的な“日本”と共鳴しやすい世界を構築している。やり方があまりに斬新すぎ、自分の会社を追い出されたりと大変な目にも遭っているが、芸術家としての存在感はかなりのものだ。ユニクロの持つ“みんなと同じ<uni>forme”的な印象を、“みんなと似ているけれど違う<uni>que(唯一)”に転換できる、最適な人選と言えそうだ。

ちなみに、ジル・サンダー女史とのコラボ商品シリーズ「J+(プラス・ジェイ)」は日本でも2日から、東京・銀座店のリニューアルに伴い発売開始。ユニクロのコンセプトと、ジル・サンダー女史のセンスがどのように融合しているのか、ぜひ注目していただきたい。

日本でもライバルとして比較されることの多い「H&M」のような、限られたデザインを少数販売するというフランス向きな売り方ではないユニクロは、とにかく“没個性”や“画一的”を嫌うフランス人には「受け入れられないのでは?」と見る向きがあったことは事実だ。

しかし、「JAPAN TECHNOLOGY」の言葉が表す通り、日本の高い品質(丈夫なジーンズ、寒い冬があるフランスでも機能的なヒートテックなど)と、ジル・サンダー女史というインパクトのあるデザイナー起用への注目度は高く、そして何よりもこの日の盛況ぶりを見ると、そうした不安はすべて杞憂と言えるのかもしれない。

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