台湾で「さぬき」うどん使用NG、現地企業が9年前に商標登録。

2008/03/04 22:11 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


コシのある麺とダシ感の強いツユが人気を呼んでいる香川県発祥の讃岐うどん。2000年頃からセルフ方式の店舗が全国で相次いで出店したことからブームとなり、06年には讃岐うどんを題材にした映画「UDON」も公開された。この映画がカンヌ国際映画祭に出品された際に出演者らが無料で振舞って好評を博したのだけど、米国では元プロ野球選手の伊良部秀輝さんが経営する讃岐うどんチェーン「SUPER UDON」が人気で、昨年11月には日本人がモスクワに出店した讃岐うどん店が大盛況となるなど、世界的にも認知度が高まっているのだ。

こうした中、佐賀県出身の樺島泰貴さんが06年6月、台湾で讃岐うどん店「土三寒六(どさんかんろく)さぬきうどん」を出店した。樺島さんは高松市発祥のうどんチェーンで修行を積み、独立。台湾で唯一のうどん打ちが見られるブースを設けており、地元マスコミに取り上げられるなど滑り出しは順調だったみたい。台湾初の日本人による店舗だったため、昨年には香川県から「さぬき大使館」に認定され、民芸品や観光ポスターを飾るなど同県のPRも行っているのだ。

ところが昨年11月、この「土三寒六」に1通の抗議文が郵送されてきた。送り主は、現地冷凍食品大手の「南僑」。12月には「1週間以内に看板の表示を変えなければ刑事告訴する」(産経新聞より)と警告された。

実は、この南僑は9年前に台湾で「さぬき」の商標登録を行っており、漢字や平仮名だけでなく、片仮名やローマ字まで登録されていたのだ。台湾の法律では著名な外国地名は商標登録できないのだけど、今回はなじみが薄いと判断された模様。また、無効審判申し立てて一般に通用する名称と認められれば登録は取り消される可能性があるものの、登録時に広く一般に知れ渡っていたことを証明しなければならず、費用もかかることから樺島さんは申し立てを断念。看板から平仮名とローマ字の「さぬき」を外すことになった。

海外での日本地名の商標登録と言えば、03年に中国のデザイン会社が申請した「青森」と、05年に中国や台湾で登録された「佐賀」が有名。中国でも著名な外国地名の商標登録は禁止されているのだけど、中国の官報に告示されてから3カ月以内に異議を申し立てなければならない。「青森」が申請されたことを青森県が知ったのは公示1カ月後で、申し立てが受理されたのは期限ギリギリだった。その後4年以上も宙ぶらりんの状態だったのだけど、昨年12月29日付で申請の却下が裁定されたのだ。ちなみに、日本企業が中国で「三光」という商標を登録申請した際には、歴史的背景から中国の法律事務所が異議を申し立て、たった8日で却下が裁定されている。

この「青森」の件で、第三者による商標登録申請を許してしまっていた「甘さ」が各方面から批判されたのだけど、香川県側は「香川の旧名なので、興味を持って調査している」(産経新聞より)とのんびりしたコメントを寄せている。ただ、別の担当者が「9年前に一般的だったことを証明するのは容易ではない」(四国新聞より)と語るように、本腰を入れて乗り出しても台湾での「さぬき」商標登録撤回は難航しそう。南僑は香川県の冷凍食品大手、加ト吉と技術提供しているそうで、なんとも皮肉な話なのだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.