F1フェルナンド・アロンソ選手がマクラーレン離脱、各チーム争奪戦に。

2007/11/03 21:54 Written by コジマ

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フェラーリへのスパイ疑惑により約115億円の罰金と得点剥奪に処され、ドライバーでも僅差でフェラーリのキミ・ライコネン選手に年間王者をさらわれるなど、今季は散々だったF1のマクラーレン。来季の出場についても12月に国際自動車連盟(FIA)が開く世界モータースポーツ評議会の会議で決定されるまで不透明な状況なのだ。

その中で、以前からチームとモメにモメていたナンバー1ドライバーのフェルナンド・アロンソ選手が、契約を2年残したまま退団することとなった。違約金は発生しないものの、アロンソ選手はこれから来季所属するチームを探すことになる。05、06年の2度もタイトルを獲得している現役最強の元チャンピオンをめぐって、争奪戦が繰り広げられているのだ。

連覇を達成したルノーから今季、マクラーレンに3年契約で移籍したアロンソ選手。しかし、シーズン序盤からチームメイトであるルーキーのルイス・ハミルトン選手との不仲がささやかれ、そのハミルトン選手を甘やかすチームともだんだんと険悪なムードになっていった。

それが表面化したのが、マクラーレンのロン・デニス代表が不仲説を一蹴する記者会見を開いた直後の第5戦モナコグランプリ(GP)決勝。トップを走っていたアロンソ選手に5秒ほどの距離を置くようにというチーム指示を無視して、ハミルトン選手が激しくアタックしたのだ。

さらに第11戦ハンガリーGP予選では、最終アタックを控えたハミルトン選手がピットで待つ中、前にいたアロンソ選手はスタートサインが出ても発車せず、それによってハミルトン選手が最終アタックできなかったという事件が起きた。これによってアロンソ選手がスタート位置を降格されただけでなく、チームもポイントとトロフィーが与えられないという処分が下されたのだけど、アロンソ選手はタイヤ交換をすべきかどうかを聞いていたと反論しただけでなく、それ以前にハミルトン選手がチームの指示を無視してアロンソ選手をブロックしていたことが発覚しているのだ。この一件で、アロンソ選手はロン・デニス代表と激しい口論を繰り広げている。

チームとの決裂が決定的となったのが、スパイ疑惑でアロンソ選手とテストドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサ選手とのメールのやり取りが証拠となってマクラーレンに厳罰が下されたこと。アロンソ選手はドライバーズポイントがそのままにすることと引き換えに証拠を提出したそうで、ロン・デニス代表はこれに激怒。チーム内は、ロン・デニス代表をはじめとしたハミルトン派と、少人数のアロンソ派で対立するほどの事態になっていたのだとか。

こうしたことからアロンソ選手は、最終戦のブラジルGPを前に代理人を使って交渉を重ね、マクラーレンの執行部は違約金なしで契約解除することを決定した。ブラジルGPがこんな状況でなければアロンソ選手が3連覇できた可能性もあるので、とても悔やまれるのだ。退団について、アロンソ選手は「子どものころからマクラーレンのドライバーになりたかったが、人生にはうまくいかないこともある」(サンケイスポーツより)としながらも、「チームにいて家族のような感情は持てなかった」(CNNより)と語っている。

今回の正式発表によって、過熱し出したのがアロンソ選手をめぐる獲得競争。古巣ルノーはすでに獲得の意思があることを表明したのだけど、3年契約を望むチームと単年契約を望むアロンソ選手の間にはまだ開きがあるもよう。このほか、ラルフ・シューマッハ選手の退団が決まっているトヨタ、ニコ・ロズベルグ選手との交換がささやかれているウィリアムズ、デビッド・クルサード選手が引退するかもしれないレッドブル、アロンソ選手が最も望んでいるであろうフェラーリなどの名前が挙がっている。ただ、トラブルメーカーであるアロンソ選手を否定的に見ているチームも少なくないのだとか。

ジャガーとジョーダンの技術部門代表を歴任したゲイリー・アンダーソンは、レッドブルのマーク・ウェバー選手がルノーに移籍し、アロンソ選手がレッドブルに入るのではないかとしており、アロンソ選手が単年契約を望んでいることから、来季は腰掛でどこかのチームに移り、その次のシーズンにフェラーリやBMWなどの有力チームに移籍するのではないかという噂まで出ている。ただ、フェラーリは今季王者のライコネン選手が09年まで、フェリペ・マッサ選手と10年まで契約を結んでおり、スーパーバイザーのミハエル・シューマッハは「その方向(フェラーリ移籍)でこれから3年以内に何かが起きるとは思わない」(ISMより)と、アロンソ選手の移籍を否定しているのだ。

一方、アロンソ選手の席が空いたマクラーレンへはロズベルグ選手やルノーのヘイキ・コバライネン選手、ホンダのジェンソン・バトン選手らが移籍することが有力視されており、ロン・デニス代表はハミルトン選手をサポートしてくれるようなドライバーを望んでいるのだそう。

来季は中嶋悟の息子である中嶋一貴選手の本格参戦や、ネルソン・ピケの息子であるネルソン・ピケ・ジュニア(ネルシーニョ・ピケ)選手のF1デビュー、新チーム・プロドライブの参戦などの新しい動きが期待されているのだけど、アロンソ選手の移籍によって、各チームともドライバーの確定はまだまだ先のようなのだ。

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