F1キミ・ライコネン選手が逆転王者に、中嶋Jr.はクルーはねるも10位。

2007/10/22 12:13 Written by コジマ

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王者の移籍、新星の登場、マクラーレンのスパイ疑惑など、さまざまな出来事があった今季のF1グランプリ(GP)。コンストラクターズタイトルは1位だったマクラーレンのポイント剥奪によりフェラーリの制覇が決定していたのだけど、ドライバーズポイントは第16戦の中国GP終了時点で、新星のルイス・ハミルトン選手(マクラーレン)が107、ディフェンディングチャンピオンのフェルナンド・アロンソ選手(マクラーレン)が103、キミ・ライコネン選手(フェラーリ)が100と、3選手に優勝の可能性が残されるという大混戦になっていたのだ。

その中で行われた最終戦のブラジルGPでは、スタート直後に予選2位だったハミルトン選手が3番手のライコネン選手、4番手スタートのアロンソ選手に次々とかわされ、1周目終了時には8位に下がってしまった。この時点で1位が母国GPに燃えるフェリペ・マッサ選手(フェラーリ)、2位ライコネン選手、3位アロンソ選手だったので、このまま行けばアロンソ選手が2選手に1ポイント差で年間王者になる。わずかな順位変動で王者が変わるという緊迫したレースだったのだ。

ハミルトン選手がギアボックスのトラブルで18位まで順位を落とし、アロンソ選手が伸び悩む中でフェラーリの2台はどんどんとペースを上げ、2度のピットストップを経てライコネン選手がトップに立った。結局、ライコネン選手、マッサ選手、アロンソ選手の順でチェッカーを受け、ハミルトン選手も脅威の追い上げで7位まで順位を上げたのだけど、アロンソ、ハミルトン両選手とわずか1ポイントの差でライコネン選手が初の年間王者に輝いたのだ。

ライコネン選手は、2001年デビューの28歳。03年に「赤い皇帝」ミハエル・シューマッハ選手(現フェラーリ・スーパーバイザー)と年間王者の座を争って2ポイント差で敗れ、05年もアロンソ選手と同じ7勝を挙げながらもまたもや2位に甘んじていたのだけど、F1史上3人目の3連覇がかかっていたアロンソ選手や、初の新人王者が期待されていたハミルトン選手の陰に隠れながらも、7年目でついに年間王者となった。

しかし、今季は最後まで“疑惑”が付きまとった。ブラジルGPで3選手に積載燃料の温度に違反があったというのだ。疑惑の対象となったのは4位のニコ・ロズベルク選手(ウィリアムズ)、5位のロバート・クビサ選手(BMW)、6位のニック・ハイドフェルド選手(BMW)で、この3選手が降格になればハミルトン選手の順位が上がって年間王者となる可能性があったのだけど、レースを主催している国際自動車連盟(FIA)は調査の結果、証拠不十分で罰則を科さないという決定を下している。今季を象徴するような、なんともすっきりしない幕切れなのだ。

ライコネン選手が全選手中最多6勝を挙げながらも最終的に1ポイント差という苦しい展開となったのは、2位の回数が上位4選手の中で少なかったことが原因とされている。今季もレース中最速のファステストラップを6回記録するなど以前から速さには定評があるのだけど、安定した走りを実現しなければ連覇は厳しそうなのだ。

一方、ブラジルGPでデビューし、佐藤琢磨選手(スーパーアグリ)や山本左近選手(スパイカー、今季第11戦から)に続いて現役3人目のF1ドライバーとなった、元F1ドライバー中嶋悟の長男、中嶋一貴選手(ウィリアムズ)は、ピットストップの際にクルーをはねる事故を起こしてしまっている。このクルーは病院に搬送されたのだけど、大事には至っていないのだそう。しかし、中嶋選手は14周目に佐藤選手を追い抜き、ファステストラップ5番目を記録するなど才能の片鱗をみせ、先輩2選手を上回る10位でゴールした。来季の活躍が期待できそうなのだ。


☆F1ブラジルGP決勝結果

1. キミ・ライコネン(フェラーリ)
2. フェリペ・マッサ(フェラーリ)
3. フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)
4. ニコ・ロズベルク(ウィリアムズ)
5. ロバート・クビサ(BMW)
6. ニック・ハイドフェルド(BMW)
7. ルイス・ハミルトン(マクラーレン)
8. ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)

10. 中嶋一貴(ウィリアムズ)
11. ラルフ・シューマッハ(トヨタ)
12. 佐藤琢磨(スーパー・アグリ)
14. アンソニー・デビッドソン(スーパーアグリ)
リタイア ルーベンス・バリチェロ(ホンダ)
リタイア ジェンソン・バトン(ホンダ)
リタイア 山本左近(スパイカー)


☆F1ドライバーズポイント

1. キミ・ライコネン(フェラーリ) 110
2. ルイス・ハミルトン(マクラーレン) 109
3. フェルナンド・アロンソ(マクラーレン) 109
4. フェリペ・マッサ(フェラーリ) 94
5. ニック・ハイドフェルド(BMW) 61
6. ロバート・クビサ(BMW) 39
7. ヘイキ・コバライネン(ルノー) 30
8. ジャンカルロ・フィジケラ(ルノー) 21
9. ニコ・ロズベルク(ウィリアムズ) 20
10. デイビッド・クルサード(レッドブル) 14

13. ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ) 8
15. ジェンソン・バトン(ホンダ) 6
16. ラルフ・シューマッハ(トヨタ) 5
17. 佐藤琢磨(スーパーアグリ) 4

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