中国独自のリニアモーターカー開発、目標最高時速は500キロ?

2007/09/22 20:31 Written by コジマ

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高速・低騒音の鉄道として実用化が期待されているリニアモーターカー。30年以上の研究を経てもなかなか実用化されず、「夢の鉄道」は「夢」のままで終わってしまうのではないかと落胆していた。ところが今年4月、JR東海が2025年をめどに首都圏と中京圏を結ぶ営業運転を開始すると発表。18年とまだまだ先の話だけど、具体的な目標が設けられたことで、一気に現実的になってきたのだ。

日本は世界でも有数のリニアモーターカー(磁気浮上式鉄道、海外ではマグレブ)開発国なのだけど、万博などを除いて営業運転しているのは、2005年に開業した愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)のみ。これは「HSST」というJR東海のものとは違う方式で、最高速度は時速100キロとなっているのだ。

一方、海外では日本より先に3カ国で営業運転が開始された。まず、84年に世界で最初にリニアの営業運転を開始したのは英国の「バーミンガムピープルムーバ」。バーミンガムの空港と駅を結ぶもので、距離は約620メートルで最高時速54キロと日本人が想像するようなものではなかったのだけれど、英国では小型低速リニアの開発に注力していたので、その成果ともいえる路線だったのだ。ただ、残念ながら95年に運行を停止している。現在は、「UK Ultraspeed」という高速リニアの開発に着手しているとのこと。

一方、日本と双璧をなすリニア開発国のドイツは、西ドイツ時代の89年に「M-Bahn」という車両で約1.6キロの営業を開始。最高速度は時速100キロだったのだけど、こちらも92年に運行停止となっているのだ。現在は「トランスラピッド」という車両に開発を一本化し、ミュンヘン国際空港とミュンヘン中央駅を結ぶ37.4キロを工事中。09年から営業が始まる予定なのだとか。

このほか、米国でも「インダクトラック」という車両の実験を行い、韓国でも8年後を目標に高速リニアの開発に乗り出しているのだけど、その米国や韓国はおろか、日本よりも先に営業運転を開始したのは、リニア開発国ではない中国だった。03年に開業した「上海トランスラピッド」(営業距離約30キロ)がそれで、その名が示すとおりドイツの技術で作られた車両なのだ。最高速度は営業運転としては史上最速の時速430キロ。高速リニアの最初の営業国が中国だなんて、多くの人が想像できなかったのではないだろうか。

こうしてドイツの助力で世界で唯一の高速リニア営業運転国となった中国だけど、広い国土を持つだけにこうした路線を至るところに配備したいところ。しかし、ドイツ側に技術提供を断られたため、やむなく自国で開発することとなった。その独自リニア「中華一号」の開発を公表したのが04年。それから3年後の今年、ようやく来年に完成することが発表され、その模型(10分の1)が遼寧省瀋陽市で開かれた「東北アジアハイテク新技術博覧会」で展示されたのだ。

「中華一号」の電気浮上方式は日本のものともドイツのものとも違う「第3の方式」を採用しているそうで、建設コストは従来の半分で済むのだとか。そして、04年の発表時は時速100キロだった最高速度は時速500キロに修正されている。たった3年で、日本やドイツと同じ最高速度まで出せる技術を身につけたのかと驚いたのだ。ドイツでは、技術が流出したと大問題になっているのだそう。

ところが、その模型の写真レコードチャイナで見た瞬間。脱力してしまった。新幹線もそうだけど、高速リニアの基本は流線型の車体。ところがこの「中華一号」は、まるで路面電車やケーブルカーのように真四角だったのだ。これで本当に時速500キロが出るのだろうか。うーむ、どうやら技術流出はドイツの杞憂だったようなのだ。

また、レコードチャイナでは内部の写真も掲載しているのだけど、ベニヤ板を張り合わせるという、いかに模型といえども「博覧会」で披露するものにしては粗末なもので、よく見るとところどころ外れていたりする。これは、来年の完成披露がいろんな意味で楽しみになってきたのだ。

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