資源の減少に歯止めかかるか、「サバがマグロを産む」実験を本格化へ。

2007/07/02 21:32 Written by コ○助

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日本人が最も好む魚にも関わらず、いま、世界の嗜好の変化と資源の減少から、激しい争奪戦が繰り広げられているマグロ。海外に飛び出した寿司ブームが世界各地に広がりを見せれば見せるほど、世界的にマグロの消費が増え、日本が確保できるマグロの量が減る……という、やや皮肉な事態を招いているなりよ。結果、マグロの価格が高騰し、徐々に小売価格にもその影響が出始めているなりね。

海外にマグロ好きが増えたことによる影響として、ひとつ、こんな話があるなり。それは台湾でのマグロ人気の話。台湾のマグロ漁は1990年頃から始まったと言われているなりが、近海で獲ることができるため、「冷凍物」ではなく、「冷蔵物」として日本向けに出荷される、非常にうんまいマグロとして有名だったなりよ。特に台湾のクロマグロは、日本産の最高級品として知られる青森・大間のマグロと遜色がないと語る料理関係者もいるほど、味は文句なしの超一級品だったなりね。

でも、ある時期から台湾でもマグロを生食する文化が根付き始め、次第に「冷蔵物」のうんまいマグロは台湾内で消費されるように。このきっかけとなったのが、台湾のケーブルテレビで流れた日本のグルメ番組だという説が有力とされているなりよ(※台湾はケーブルテレビの普及率が非常に高く、日本の番組がよく流れている)。日本の芸能人が美味しそうに頬張る「トロ」や「大トロ」に台湾の人々が興味をそそられたのは、不思議ではないなりね。

これはほんの一例で、世界的な健康志向の高まりによって寿司ブームが加速しているなど、海外にはいろいろなきっかけでマグロの消費が増える要因があるなりよね。とりわけ人口の多い中国やインド、欧州全域の人々がマグロを消費するようになってからは、乱獲がたたって世界的にマグロ資源は減少気味。そのため、日本では限られた資源を守りながら、増え続ける消費のニーズにも応えられるよう、マグロの養殖に向けた取り組みが長年続けられているなりよ。

そんなマグロの養殖への取り組みの一環として、東京海洋大学の吉崎悟朗准教授らが年内にも実験を始める養殖方法は、今まで誰も手を付けてこなかった意表を突くもの。なんと、マグロと遺伝子的に関係が近いサバを利用した、画期的な養殖方法だというなりよ。時事通信によると、その方法は「マグロの精子のもととなる細胞をサバに移植し、サバの自然受精によってマグロを誕生させる」という、つまりは「サバがマグロを産む」養殖方法。養殖のしやすいサバを活用することで、マグロの資源枯渇問題を一気に解決しようという試みなり。

もし、この養殖方法が成功すれば乱獲を防げるだけでなく、小売価格も低く抑えられるようになるかも。また、「冷凍物」ではなく、「冷蔵物」をいつでも供給できるようになるかも……という淡い期待も抱いてしまうなりね。まあ、マグロの味が自然のものと養殖ものでは格段の差がある可能性は否めないし、「サバがマグロを産む」養殖方法の場合、種類の違う魚から産まれた魚をそのまま食べても平気なのか、という素朴な疑問も浮かんでくるなり。

果たして「サバがマグロを産む」養殖実験は成功し、将来のマグロ危機を回避するのに一役買うことができるのか。注目しておきたいところなり。

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