2001年に米大リーグへ移籍して以来、最高峰の舞台でもトップレベルの活躍を続けているシアトル・マリナーズのイチロー外野手。17日のロサンゼルス・エンゼルス戦では盗塁に失敗し連続盗塁記録は45（アメリカン・リーグ記録）でストップしたものの、複数安打でメジャー通算1400本安打を記録し、7年連続となる年間200本安打に向けて調子を取り戻しているのだ。

マリナーズに欠かせない存在となったイチロー外野手だけど、今年は4年契約の最終年。その動向は日本だけでなく、米国でも注目されているようで、米国で唯一の全国紙であるUSAトゥデーが、16日付けの紙面でイチロー外野手に関する長文の記事を掲載したのだ。

「Ichiro chages perspective」（イチローは展望を変える）と題されたこの記事は、来季の去就を中心に、本人やマリナーズ首脳陣などへのインタビューを交えてイチロー外野手を紹介。さらには、「フリーエージェント（FA）をするならば」という条件付きで、〈6度もオールスターに出場している選手を得るならば、年俸は1500万〜2000万ドル（約18億1500万〜24億2000万円）は払わなくてはならない〉と予想しているのだ。

イチロー外野手の年俸は、現在4年総額で4400万ドル（約47億5200万円）。1年あたりだと約12億円なので、24億円だと2倍となる。これはニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜外野手の年俸（4年総額5200万ドル、1年あたり約15億円）を大幅に上回り、日本人大リーガーのトップとなるのだ。

以前にNarinari.comでもお伝えしたように、イチロー外野手は首脳陣やチームメイトとの仲がうまくいっておらず、選手を大幅に入れ替えた今季は回復傾向にあるみたいだけど、こうしたイチロー外野手の状況をシアトルのファンは黙殺していたようなのだ。しかし、今季のキャンプでFAをにおわせるような発言をするとファンは驚き、いまでは多くのファンが契約を延長してマリナーズのユニフォームを着て引退することを望んでいるそうなのだ。

イチロー外野手との確執が報じられたマイク・ハーグローブ監督は「私の結婚生活には、家内に満足していない時期もあった。しかし、私はまだ彼女愛しているし、結婚生活全体にも満足している」との“例”を挙げ、「ファンも都市もイチローを愛しており、彼がファンや都市を愛していると思う」とコメントしている。まあ、確執は一時的なもので、長く在籍していれば結婚生活のようにおおむね満足できるものになるということだろう。

イチロー外野手は、ファンについて「ぼくはファンを喜ばせるためにプレーし、ファンの作り上げた“イチロー”の後を常に追ってきた。人々がぼくについてどんなことを考えているのか怖かった」とし、「（年間最多安打記録を更新した）2004年以降、これ以上ファンを喜ばせることが不可能だということ、そして自分自身を大切にしなければならないことに気づいた。ファンがそういったぼくを好きでいてくれればいい。これにより、以前より自信が持てるようになった」と語っているのだけど、ＦＡに関して「とても敏感な問題なので、答えたくない」としているのだ。

「イチローが最も称賛されるべき点は、基礎や高い野球IQ、試合に対する愛情と情熱。個人成績には現れない」と語るジョン・マクラーレン・ベンチコーチが監督になれば、イチロー外野手ものびのびプレーできるのかも。

個人的には、故・仰木彬監督に匹敵する名将、トニー・ラルーサ監督率いるセントルイス・カージナルスへ移籍することが、イチロー外野手にとって大きなプラスになるような気がするのだ。オリックス時代のチームメイトで同期入団の田口壮外野手もいるし。でも、赤いユニホームは似合わないかもしれない。

記事ではこのほか、食後にアイスクリーム6つとエクレアを食べながらも、強い意志と“戒律”をもって20歳の頃とウエストサイズが変わらないこと（これについて、イチロー外野手は「日本では『甘いものは別腹』って言うんだ」としている）、ステロイドや最多安打記録を持つピート・ローズ、芸能人であること、タイガー・ウッズの運動能力などについてのイチロー外野手の意見を掲載している。

全米も注目するイチロー外野手の去就、来季はどのチームのユニホームを着るのか、いまから興味津々なのだ。この記事の最後には、「あなたが自分自身より大きく振る舞うのは、弱さの表れ。たとえあなたが周囲のイメージより素晴らしい人間だとしても、隠すことのほうがよりクールだ」「これは日本と米国の文化の大きな違いで、米国人は日本人より体が大きいのだから、たまには日本人を理解しようとしてほしい」というイチロー外野手の呼びかけが掲載されている。