400年の勘違い、ネズミはチーズが嫌いだった。

2006/09/08 22:56 Written by コジマ

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アニメ「トムとジェリー」のジェリーだけでなく、もはや世界的常識となっている「ネズミはチーズが大好物」という図式。なんでもシェークスピア作の劇中でも言及されていたというから、かなりの歴史を誇っているのだ。そういえば、スペンサー・ジョンソンのベストセラー「チーズはどこへ消えた?」でもネズミが登場していたなあ。ところが、英国の研究によって衝撃の事実が判明したのだ。

マンチェスター・メトロポリタン大学とチーズ製造業者団体の合同で行われたこの研究は、ネズミにさまざまな餌を与えてその嗜好を調査した。その結果、穀類やドライフルーツなどには飛び付いたのに、チーズには見向きもしなかったそうなのだ。

研究者の1人である同大学動物行動学のデビッド・ホームズ博士によると、ネズミは新陳代謝が活発で糖分を多く必要し、そのため糖分の多い食べ物を好むそうなのだ。また、研究ではたくさんの種類のチーズが使われたのだけれど、独特の強い香りを持つブルーチーズは特に敬遠されていたとのこと。

それではなぜ、400年以上も人々の間で「ネズミはチーズが好き」と信じられていたのだろうか。なんでも、かつてチーズを食料貯蔵庫に保存していた時代にネズミにかじられる被害が続出したことから、ネズミはチーズが好きだという噂が広まったそうなのだ。しかし当のネズミはエサとして食べたのではなく、巣を作るためにかじっていたという。最近頻発しているネズミが電気コードをかじる被害と同様、安全な通り道の目印としてかじっていたのだろう。電気コードだったら「好物だ」と勘違いされなかったのになあ。

オーストラリア在住の人のブログで、ネズミ捕りのエサにはチーズよりもトマトのほうが効果的だと紹介されているのだけれど、今回の研究結果はそのことを裏付けている。近ごろでは高齢者の足をかじるという被害も頻発しているそうで、そうしたネズミに悩まされている人は、駆除器に仕掛けるエサを糖分の高いものに切り替えたほうがよさそうなのだ。

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