駐車違反民間取り締まりがスタート、各地の反応は?

2006/06/01 23:02 Written by コジマ

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以前お伝えしたとおり、道路交通法の改正によって1日から始まった駐車違反取り締まりの民間委託。「車を離れたら即摘発」という厳しい取り締まりのため、市民だけでなく各業界も戦々恐々としているのだけれど、初の試みに対する不安は取り締まる側の委託された民間会社も同じだったようなのだ。賛否が入り交じる民間委託初日の今日、各地の反応はどうだったのだろう。

47都道府県102市町を管轄する全国264の警察署に委託されたのは、警備会社41、ビル管理会社14、公益法人4などの74法人。初日の1日は、1578人の駐車監視員がうす緑の制服を身に着けて出動し、警察官の指導を受けながら、2人以上1組で放置車両の取り締まりや停車中の運転手に注意をして回った。

しかし、9都道府県の44署で放置車両の情報を警察署に送る携帯端末機がうまく作動しないトラブルが発生。取り締まりが30分遅れたり、正午までセンターとのやり取りができないところもあったようなのだ。また、監視員は約1カ月の研修を受けたにもかかわらず、機械の操作に手間取り、同行した警察官から指導を受けながら20分かかってようやっと端末に入力する、といった姿も見られたもよう。

一方で、神戸新聞高知新聞読売新聞などによると、街から放置車両が消えたという劇的な効果が出たのだとか。また、読売新聞によると、東京23区の国道などで渋滞の長さが8.6%減少するという副次的な効果が早くも出たようなのだ。

さて、遅ればせながら新しい取り締まり方法の流れをご紹介すると、

監視員もしくは警察官がガイドラインに沿って巡回
   ↓
違法駐車車両を確認
   ↓
カメラで撮影
   ↓
ステッカー(標章)を取り付ける
 ↓                ↓
運転者が警察に出頭     運転者が未出頭
 ↓                ↓
反則金を納付          持ち主に違反金納付命令
 ↓                ↓
違反点数が累積        持ち主未納の場合は車検拒否や使用制限

となっている。この流れをよく見てみると、運転者が未出頭の場合は持ち主が違反金を納付するようだけど、その場合は違反点数の“減点”(実際は加算)されないようなのだ。こうした仕組みを突いて、ZAKZAKでは、自分の車を取り締まっている現場に出くわした際は、見過ごして後で「持ち主」として違反金を支払ったほうが、“減点”がない分お得と紹介している。うーん、なんかズルのような気もするけど……。

気になるのが市民の反応。各紙に掲載されている新制度に対する声を見ると、肯定派は、

「普段は3、4時間放置された大型トラックもあり、迷惑していたので、監視はするべき。やるなら公平にしてほしい」(神戸市、自営業、神戸新聞より)
「普段はもっと違法駐車が多いのだが。違法駐車は事故の原因になるし、新制度は良いこと」(福岡市、会社員、読売新聞より)
「昨日までは店の前に車やバイクがたくさん置いてあって邪魔で仕方なかったのに、今朝は1台もない」(東京、飲食店経営、読売新聞より)

としているけど、摘発された当事者は、

「これまで摘発された経験がないのに…」とぼう然(東京・銀座、銘菓製造業)
「制度は知っているが、わずか1分で済む用事なのに」(東京・渋谷、タクシー運転手)

というだけでなく、福岡市では、駐車違反のステッカーを張った約2分後に運転していた若い女性が現れ、「うっそー」と驚き、興奮して文句を言い始めたのだそう。この女性は監視員の必死の説明にも納得せず、同行した博多署の署員が間に入ってようやっとおさまったのだとか。(以上、読売新聞より)

こうした監視員と運転手との間のトラブルは今後増加すると見られており、監視員にとってかなりの負担となりそうなのだ。また、取り締まりと称して違反金をだまし取る「ニセ監視員」出現も懸念されている。ちなみに、監視員はみなし公務員なので、暴行などで抵抗した場合は公務執行妨害罪に問われるのだ。

しかし、道路で仕事をする物流業界はもっと必死。警察庁に緩和要請をしたものの、規制対象から外された地域は数カ所のみ。1日は様子見のために午前中を休業したり、常に車を動かせるように人員を増やして対応している。

「うちのような小規模会社では運転手に早く戻るよう言うしかない」
「商店主の荷降ろしまで取り締まり対象にされてはかなわない」
「監視員の姿が見えたので一度周辺を回ってきた。取り締まりが厳しいので、こちらも補助員を付けるなど対策を考えないと…」
「取り締まりに不公平感が出ないようにしてほしい」
(以上、読売新聞より)

といった怨嗟の声も聞こえてきているのだ。最後の「不公平感がでないように」というのは、郵便小包の集配車が規制対象外になっていること指しているのだろう。

こうしたなか、ビジネスチャンスが到来していると指摘しているのが産経新聞。台車の売れ行きが好調と報じ、東京海上日動火災保険が、駐車監視員向けの保険「放置車両確認業務総合保険」を発売したことを紹介。また、読売新聞では、今後需要が伸びることが予想されているコイン駐車場を運営する会社が事業拡大を進めることを報じているのだ。

見切り発進的に始まった駐車違反取り締まりの民間委託。上記に紹介した以外にも、委託先の法人のなかに警察OBの再就職が多いことが指摘されるなどまだまだ問題点は山積みとなっている。しかし、劇的な効果をみせたのもたしかなので、本当に、不公平感とトラブルのないような取り締まりを行ってほしいのだ。

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