「車から離れたら即摘発」、駐禁取り締まりが民間委託で強化。

2006/04/03 16:20 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


2004年に成立した道路交通法の改正によって、6月から民間委託される駐車違反の取り締まり。これに伴い、違反の基準が厳格化されるようなのだ。新たな駐車違反の基準は、「車を離れたら」。コンビニエンスストアやファストフードでのちょっとした買い物でも摘発されるという。また、宅配や引っ越しの業者などにも適用されるため、各業界への影響も大きくなりそうだ。

現在の取り締まりは、警察官が駐車違反を発見するとチョークでタイヤから地面にかけて時間を記入し、一定時間が経過しても駐車されていると黄色いケースに入ったステッカー(標章)を付ける。この黄色いケースはドアミラーの付け根などにカギでがっちりと留められてしまうので、交番や警察署に行かなければ外してもらえないのだ。なかには工具で取り外すケシカラン輩もいるけど。そして、ケースを外してもらうのと引き替えに違反切符が交付される。

6月からは、「みなし公務員」である駐車監視員が駐車禁止区域を巡回し、違反車両を発見するとデジタルカメラで撮影して端末機で警察送信しつつ、違反ステッカーを貼るということになる。違反基準は、冒頭で述べた通り、「駐車時間にかかわらずドライバーが車から離れたら」だそう。ちなみに、監視員にノルマは課さないのだそう。

この基準はもちろん業務車両にも適用されるので、宅配業者は車を使わない集配システムの導入やコイン駐車場との法人契約を結ぶなどで対応するかまえだ。業界大手のヤマト運輸では、台車などで配達するための「サテライトセンター」を首都圏に設置している。麹町で最近、ヤマト運輸や佐川急便のそういった小さな集積所が増えて不思議に思っていたのだけれど、改正道交法が一因だったとは知らなかったのだ。

また、引っ越し車両は地元警察署から許可をもらうという形で認められるのだけれど、申請してから許可が下りるまで4、5日かかるうえに警察署ごとにばらつきが予想されるため、1日に何件も回る業者や長距離の引っ越しなどを請け負う業者などは困惑しているそうなのだ。

昨年の駐車違反取り締まり件数は全国で160万件。警察庁は今回の改正で2倍程度増えると予想している。この状況を受けて、コイン駐車場大手のパーク24のほか、駐車場関連企業の株価が急騰しているのだ。民間駐車場の需要が高まるのだろう。

この駐車違反取り締まり民間委託とともに今回の改正道交法で導入されるのが、「放置違反金制度」。現在の道交法では、罪が問われるのが違反の実行者(運転者)だけで、車検証名義人(所有者)には及ばないのだけれど、6月からは運転者が支払わない場合、所有者が肩代わりをしなくてはならないようになる。これにより、「ぼくのクルマだけど、違反したとき運転してませんでした。貸した相手は言いたくありません」という姑息な言い逃れができなくなったのだ。また、違反金の滞納が続いた場合、財産差し押さえや車検が受けられなくなる罰則強化も盛り込まれている。

「放置違反金制度」によって影響を受けるのがレンタカー業者。レンタカーの駐車違反はかなりの件数にのぼり、これをすべて肩代わりしていたのでは会社の死活問題になるのだ。全国レンタカー協会加盟会社は、すべての車両に会社名と連絡先を記したシールを貼り、違法駐車が確認された段階で通知してもらうよう警察に要請したのだそう。そして、車両返還時に「反則金を支払う」との自認書を利用者に書いてもらうようにするという。

都市部では違法駐車が深刻な渋滞を招いており、死亡事故の原因ともなっている。取り締まりの強化がこうした問題の解消につながるのは歓迎すべきことだけど、現状に則さないあまりに厳しい取り締まりは、かえって反発を招くことになる。「田や沼や汚れた御世を改めて清らに澄める白河の水」という世論が「白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき」とならないように祈るのだ。

余談だけど、某サイトに「トイレにも行けなくなる」というようなことが書いてあった。うーん、これは深刻なことなのだ。 「何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」という道路交通法第六十六条は適用されないのかな。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.