都市のなかの音楽フェスティバル、サマーソニックを堪能 その2。

2005/08/18 04:10 Written by コジマ

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都市型ロックフェスティバル「SUMMER SONIC 05」の8月14日・東京会場に行ってきたので、ぼくが観たステージのレポートをお届けしているのだ。始める前に、この日のタイムテーブルはこちら、会場の地図はこちら 。 参照しながら読むと臨場感がわきます。では、つづきをどうぞ。

BEACH STAGEでTHE MICETEETHのステージを観終わったぼくらは、急いでSONIC STAGEのある幕張メッセへと向かったのだけれど、とにかく遠い。フジロックの移動のときみたいに森の中を歩くわけでもなく、普通の街並みが続くので面白くもなんともないし、20分の移動時間はやりすぎなのだ。途中、MOUTAIN STAGEに出演する予定だったUKメタル・バンドのバレット・フォー・マイ・ヴァレンタインがメンバーの体調不良により公演中止となったお知らせが出ていたのだ。ぼくは観る予定はなかったけど、楽しみにしていた人は可愛想に。この影響でMOUTAIN STAGEのタイムスケジュールが30分ほど繰り上がっていたそうな。さて、お目当てのブロック・パーティーのステージには十分間に合う時間だったけれど、できるだけ前で観たい。でも走ると汗だくになる。ということで、間抜けな競歩のスタイルでずんずん歩いていったのだ。結局、汗かいたけど。しかし、SONIC STAGEに着いてア然。まだ20分前だというのに、先ほどのリトル・バーリーとは比べものにならないほどのお客さんが入っているではないか。むむむ、さすが今年のマーキュリー・アワード受賞候補筆頭のバンド。スタジアムでも十分観客を集められると思うのだけれど、なぜかジ・オーディナリー・ボーイズと交代したようなのだ。むむむ、なぞ。

●ブロック・パーティー
今や英国だけでなく世界をも席巻している、ケリー・オケレケ(ボーカル、ギター)、ラッセル・リサック(ギター)、ゴードン・モークス(ベース)、マット・トン(ドラム)から成るロンドン出身のブロック・パーティー。ケリーは黒人、ラッセルとゴードンは白人、マットは中国系と人種混合なのも面白いのだ。2004年デビューのこのバンドが他のニューウェーブ・リバイバル(だけでなくポスト・パンク)のバンドと一線を画すのは、呪文のようなしかしカリスマティックなケリーの声と、ギターのラッセルが刻む斬新なメロディーライン。弱点といわれる演奏のヘタさ(特に、ライブでのマットのドラムが貧弱と批判されている)をカバーしてありあまるほど魅力的なのだ。やはり、バンドで大切なのは演奏の巧いヘタではなく魅力的な楽曲なのだ。サマーソニックには昨年に続いての出演。
演奏が始まると、ドカドカと人を跳ね飛ばして前へ突進するお兄さんたちが続出。うーん、マナーが悪い。一緒にいたSさんは猛タックルを浴びて一回転してたのだ。前のほうはモッシュとダイブの嵐。うーん、楽曲からしてモッシュするんじゃなく踊りまくるほうが合ってると思うんだけどなあ。まあ、人それぞれ楽しみ方はあるわけで……。しかし、予想通りケリーの声はライブでも神々しい。噂と違って演奏のツブはそろってるし、これはいいステージを観たと思ったのだ。ぼくらも、となりにいたガイジンさんたちの集団も踊りまくりで盛り上がっていたのだけれど、20分ほど観て出ることに。15分後にMARINE STAGEでカサビアンのステージが始まるのだ。ホントに名残惜しかった。

MARINE STAGEへ向かう道は人でごった返しており、思うように進まない。アジカンを観ていたNくんとスタジアム入り口で合流したときには、すでに演奏が始まっていたのだ。うお、グランドの3分の2は埋まっているではないか。急いでスタンドから下に降りて、前へと進み中程で観る。

●カサビアン
2004年にデビューした英国レイチェスター出身のカサビアン。メンバーはトム・ミーガン(ボーカル)、セルジオ・ピッツォーノ(ギター、キーボード)、クリストファー・カーロフ(ギター、キーボード)、クリス・エドワーズ(ベース)の4人。彼らは地元の農場の小屋で共同生活をしながら、自分たちの音源をコンピュータでつぎはぎにしてパーティーをやっていたのだそう。そんな彼らの楽曲は、ビートルズの「トモロー・ネヴァー・ノウズ」の不穏さとグランジの重たさを合わせたような感じ。そんな、一歩間違えるとキワモノになりそうな曲だけれど、3〜4分で終わらせることで聴いたあとには清々しさすら感じ、あとを引くのだ。ぼくはストレートなロックが好きで、特にこの手の電子音バンドは得意ではないはずだったのだけれど、アルバムを聴くうちにすっかり虜になってしまったのだ。「クラブ・フット」を聴いたときなんて、「あ〜、やられた!」と思ったし。ポップなんかクソ食らえ! オレたちの音楽はこうだ! というUKロックが忘れていた独自性がウケ、英音楽誌NMEで「2004年にあなたの人生を変えるバンド」と絶賛されるなど、その人気はとどまるところをしらないのだ。サマーソニックには昨年も出演し、入場規制の大盛況となった。
さてさて、ステージを見て驚いたのが、トムの顔にたっぷりヒゲがたくわえられていたこと。セルフ・タイトルのアルバムに載っているツルツル顔しか見たことなかったので、まるでエピソード3のオビ・ワン・ケノービのようなヒゲにびっくりしたのだ。それにしても、さすがにカサビアンの演奏はすごい。電子音はセルジオが弾くキーボードだけでなく、クリストファーが弾くエフェクターばりばりのギター(しかも手でなでるように弾いている)からも聞こえ、「ギターってこんな音も出せるんだ!」と感心させられたし、クリスのベースは地を這うようにズンズンと響いてくる。ステージを縦横無尽に駆け回るトムのパフォーマンスもなかなかのもので、お客さんも沸いていたのだ。でも、ちょっと日本人にはムリなフレーズ(英語が難しい)を観客に歌わせようとしてうまくいってなかったけど、最後の「クラブ・フット」では「アー、アーアアーアアーア」の大合唱。メンバーも満足してステージを後にしたのだ。

カサビアンのステージも終わり、ここからが悩みドコロ。SONIC STAGEとMARINE STAGEで交互にティーネイジ・ファンクラブ、ウィーザー、ラーズ、オアシスと続くのだ。全部観たい、けど全部観るとすべて後方で観るハメに。オアシスなんて入場規制されちゃうかもしれない。しかも移動が面倒くさすぎるし。と悩んでいると、間延びした口調のNくんが「あのさー、やっぱりさー、オアシスは前のほうで観たいよねー」と言ってきた。「う、うん、そうだね。でも、ラーズも観たいよね」「でもさー、オアシス前で観るならさー、このままここにおらんとムリだよねー」「う、うん。でも、ラーズも観たいよね」「ウィーザーで前のほうに詰めてってさー、オアシスが出てくる前にさー、一気に最前列って作戦はどう?」「う、うん。でも、ラーズも……」「最前列はムリかもしれんけど、結構前に行けると思うんだよなー」「で、でも……」というように、人の話をまったく聞かないNくんに押し切られ、移動の面倒くささもあってティーネイジ・ファンクラブとラーズは諦めたのだ。Sさんに訊くと「なんでもいいよ」って言うし。ああ、ラーズ観たかった……。「ゼア・シー・ゴーズ」を合唱したかった……。この先日本に来ることないだろうし……。しかも、ここからが地獄の4時間の始まりだったのだ。

つづく

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