衝撃の「一太郎」判決、識者の意見は?

2005/02/04 11:42 Written by コ○助

このエントリーをはてなブックマークに追加


「『アイコンの機能説明をさせる第1のアイコン』をクリックしてから第2のアイコンをクリックすると、第2のアイコンの機能説明をしてくれる処理に関する特許」をめぐり、松下電器産業から裁判を起こされていたジャストシステムが敗訴。主力の「一太郎」と「花子」の製造・販売の差し止めと在庫製品の廃棄を命じられたことは、ソフトウェア開発者から一般ユーザーに至るまで各方面に大きな衝撃を与えたなりが、この判決を、いわゆる識者がどう受け止めたのかをまとめた記事が日経新聞に出ているなり。分かりにくい特許裁判なので、なかなか参考になるなりよ。

・佐藤一郎 国立情報学研究所 ソフトウェア研究系助教授
「今回のケースでは松下電器産業の発明に至る投資と先行者利益は保護することは最重要ですが、ユーザーから見た利便性とのバランスも必要になると考えます」

・白石清 Jストリーム代表取締役社長
「この特許は特に明確に特許の侵害が見てわかるものだけに、この判決は妥当としか言えません。使いたければ使用料を払うしか無いと思います」

・根来龍之 早稲田大学IT戦略研究所所長/商学部教授
「判決の記事を見た時に、『この程度で特許か』、『この程度で製造中止と廃棄命令か』と感じたのが、私の自然な感想です」

賛否両論といった感じなりが、大方は「松下電器産業の特許は尊重されるべき」といった意見。ただし、「特許の保護範囲」を広く規定してしまうことで、ユーザーに不利益が生じるような判決は、諸手を上げて賛成はできないといった声が多いなりね。そして、今回の判決をひとつの契機として、特許の在り方についての議論が深まることに期待したい、という意見が目立つなり。

今回の裁判は松下電器産業にしてみれば当然の権利を行使したまでで、決して責められるべき対象では無いなりよね。一方のジャストシステムは、松下電器産業側からのライセンス契約の申し入れや和解案を拒否してきたことは、あまりうまいやり方では無かったのかもしれないなり。もちろん、こういう判決が出ての結果論でしか無いなりが、頑なに突っぱねるのではなく、もう少し違うやり方は無かったのかな、と。

判決後、ジャストシステムの株価は一時ストップ安となったなりが、その後持ち直し始めている様子。仮処分申請が見送られたことで今後も「一太郎」や「花子」の販売は継続できるなりが、ジャストシステムが控訴する方針を明らかにしている以上、まだまだこの裁判は尾を引くなりよね。高裁、最高裁と判決がどちらに転んでいくかは全く読めないなりが、地裁での判決とは違うものになる可能性は十分あるだけに、裁判の行方に注目しておきたいところなり。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.