エリザベス女王死去、在位70年のあゆみ

2022/09/09 05:13 Written by Narinari.com編集部

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イギリスのエリザベス女王が崩御した。享年96。即位70周年を数か月前に祝ったばかりの女王が9月8日、スコットランドにあるバルモラル城で息を引き取った。

女王はその歴史に残る在位期間で数々の記録を更新。2007年12月21日には、イギリス史上最高齢の君主となり、2015年9月9日にはイギリス史上最長在位、世界最高齢の君主という記録を打ちたてた。そして2016年10月にタイのラーマ9世の崩御を受け、存命の君主として世界最長在位となり、2017年2月にはイギリス君主初となる「サファイア・ジュビリーと呼ばれる」在位65周年を迎えた。

1934年に伴侶となるフィリップ殿下と出会い、1939年には文通を始める。21歳だった1947年7月に婚約を発表し、その4か月後となる1947年11月20日に挙式、フィリップ殿下にはエディンバラ公爵の称号が与えられた。

ウィンザー城近くに位置するウィンドルシャム・ムーアで新婚生活をはじめ、1949年7月にロンドンのクラレンス・ハウスへと住まいを移す一方、イギリス海軍に従事していたフィリップ殿下と共にマルタ島で過ごしていた時期もあった。

1948年11月、第1子となるチャールズ皇太子が誕生、1950年8月にはアン王女が生まれた。ちなみにアンドルー王子とエドワード王子を出産した1959年と1963年は、エリザベス女王が在位中イギリス議会開会式に唯一出席しなかった年となっている。

そして1952年2月6日、オーストラリアとニュージーランドへの公務へ向かう経由地であったケニア滞在中、長らく病気を患っていた父の国王ジョージ6世の崩御の知らせを受け、25歳にしてイギリス女王に即位。イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ連邦、パキスタン、セイロンというイギリス連邦加盟の独立国家の君主となる。秘書官から即位する王名を尋ねられた際には「もちろんエリザベスです」と答えたという。

1953年6月2日に行われた戴冠式は、初のテレビ中継が行われた。

60年代と70年代には、アフリカとカリブ諸島の20か国以上がイギリス連邦から独立している。

長い在位期間の中で、命の危険にさらされたこともある女王。1981年のトゥルーピング・ザ・カラー式典でザ・モールを通過中、近距離から6発の銃弾が撃たれたり、その数か月後にもニュージーランド内のビルから女王をめがけて発砲する事件があったほか、翌年にはセキュリティをくぐり抜け、マイケル・フェイガンという男がバッキンガム宮殿内の寝室に侵入する事件が発生した。

90年代は女王にとって厳しい時代となり、1992年には在位40周年のルビー・ジュビリーに向けたスピーチの中で「ひどい年」を意味する「アナス・ホリビリス」と発言。アンドルー王子夫妻の別居、アン王女の離婚のほか、チャールズ皇太子とダイアナ妃との危機も公となり、同年12月に2人は別居を始めた。さらにウィンザー城で火災が発生、膨大な被害を受けた一方、モーリシャスが立憲君主制から共和制に移行、女王は同国の君主の座を失った。そして1997年8月にダイアナ元妃が交通事故で他界した後、数日間声明を出さず、バッキンガム宮殿に半旗を掲げなかったことで世間からの批判を浴びる。

一方、在位50周年となる2002年のゴールデン・ジュビリーの年には、妹マーガレット王女を3月、母エリザベス皇太后を2月に失う悲しみに襲われた。

エリザベス女王とフィリップ殿下にとって最後の海外公務となったのは2015年、かつて暮らしたことのあるマルタ共和国だった。それまでに117か国を訪れていた女王だが、2015年以来は他のロイヤルファミリーが海外公務を行うようになり、女王夫妻は国内のみの訪問をするようになった。

そして2021年4月、愛する夫フィリップ殿下が100歳の誕生日を2か月後に控えてこの世を去る。コロナ禍であったため、葬儀は簡素に行われた。

同年10月、未公開の症状によりエリザベス女王が入院、その後腰を痛め、医師から休養を指示される。それから数か月はプライベートなミーティングやビデオ通話などだけで公務を継続、その後、杖を持って公の場にまた姿を見せるようになった。

2022年2月に新型コロナウイルスに感染。「軽い、風邪のような症状」だと言われたが、オンラインでのミーティングの数々をキャンセルしたことで、その容態が懸念された。しかし、6月のプラチナム・ジュビリーの祝賀イベント中には、バッキンガム宮殿のバルコニーに2度姿を現し、さらにパレードにも予定外ながら参加して国民を喜ばせた。

最後の公務となったのはつい先日、リズ・トラス新首相の任命とボリス・ジョンソン元首相からの挨拶だった。通常は新首相の任命はバッキンガム宮殿かウィンザー城で行われるが、トラス氏とジョンソン氏がスコットランドにあるバルモラル城へと出向くかたちとなっていた。

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