世界にはさまざまな文化や伝統がある。メディアやインターネットの発達により、ほかの国のことを知る機会は増えているが、その価値観を共有するのはなかなか難しい。先日イランの聖職者が、信者らに対し「女性が控えめな服装をしなければ、地震が引き起こされる」と礼拝で語ったとされる発言が欧米メディアの間で話題を呼んだ。すると、この情報を知った米国の女性が間違った考えであることを証明したいと、セクシーな服装で外へ出るイベントを計画。現在、FacebookやTwitter（ハッシュタグは#boobquake）を利用して世の女性たちに参加を呼び掛けているが、すでに6万人を超える人が参加を表明するなど、この話題に注目している人は多いようだ。

問題の発言は、4月16日にイラン・テヘランで行われた金曜礼拝の場で、イスラム教聖職者のKazem Sedighi師が語ったとされているもの。イスラム国家の中でも特に厳格で知られるイランだが、近年は欧米文化に憧れ、おしゃれな服装を楽しむ若い女性も増えている。ただ、女性の服装にも厳しいルールがあるイランだけに、保守的な信者の間からは乱れた服装の女性を取り締まるよう求める声がたびたび聞かれるなど、この問題は非常にデリケート。そうした中、マフムード・アハマディネジャド大統領が先日「より実践的な警告」（カナダ紙ナショナル・ポストより）を行ったとされ、この意に沿う形でSedighi師の発言が出たという。

この中でSedighi師は「不適切な服を着る女性は、若者を誤った方向へ導き、純潔を損ない、不倫を掻きたて、地震を増加させる社会を引き起こす」（同）と発言。同時に「災難は人々の行為による結果」とも語り、地震の多いイランの土地柄を交えてイスラム教の教えを忠実に守るよう、若い女性たちに注意を促す意味で語ったようだ。

ところが、この発言がメディアを通じて世界へと広がると、ある米国人女性はこれに反発。本当に女性が地震を引き起こせるのかという実験イベントを計画し、FacebookやTwitterを通じてほかの女性にも参加を呼び掛けている。

この女性は米インディアナ州の大学生、ジェニファー・マククレイトさん。彼女は「女性が地震を引き起こす」とも解釈できるSedighi師の発言に反発し、本当にそうなるのかを試す実験を思いつき、Facebookにページを立ち上げた。「Boobquake」と名付けられたページでマククレイトさんは「謙虚な服装は地震を引き起こさないというなら、我々はこの主張を科学的にテストしてみるべき」とこちらも主張。4月26日、マククレイトさんは「胸の谷間を強調するシャツを着る」と宣言し、一緒に実験してくれる女性を募っている。

この呼びかけに対し、4月23日現在で15万人近い人が回答。そのうち約6万2,000人が「参加する」としており、実際に行動が実現すれば大きな実験イベントになりそうだ。コメント欄には「私も入れて」「素晴らしい月曜になりそう（※4月26日は月曜日）」とする女性たちのほか、「協力させてくれ」「見物する」という男性の声も。果たして4月26日以降、米国で地震は起きるのだろうか。