受刑者向けくじの賞品は「1日外出」権、英刑務所が計画も市民反対で撤回。

2009/11/29 18:40 Written by Narinari.com編集部

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罪を犯した者が、決められた期間収容されるのが刑務所。そこで受刑者は自ら犯した罪を反省し、再び社会復帰できるよう矯正教育を受け、厳しい管理・監視下に置かれながら生活する。しかし海外では、受刑者に一定の自由を与えるケースもあるなど、その対応方法は国によってさまざまだ。

英国の受刑者は、重罪を犯し最も厳重な警備が必要とされる「カテゴリーA」から「カテゴリーD」の4段階に分類され、それぞれのカテゴリーに対応した刑務所に収監される。そんな英国の刑務所のひとつ、「カテゴリーD」の受刑者を受け入れるのがカーカム刑務所。現在590人が収監されているこの刑務所は、警備や管理の度合いもほかに比べれば緩いようで、英紙サンデー・エクスプレスは「“行楽地”と呼ばれる開かれた刑務所」と紹介している。

このカーカム刑務所では、以前から受刑者向けのくじが行われてきた。抽選で「独房でテレビが観られる権利」「自分の服を着る権利」などが与えられ、そうした特権によって“良い振る舞い”を促そうという狙いからだが、今年のクリスマス向けくじの賞品として用意されたのが、「付き添いなしで自由に1日外出する権利」という、かなり大胆なものだ。

受刑者にとってこの上ない賞品が用意されたくじへの参加には条件がある。それは、刑務所近くにある老人福祉センターで提供されるクリスマスランチの準備を手伝うこと。この条件を遂行する受刑者のみ、くじを購入することができる仕組みだ。

しかし、いくら「カテゴリーD」の受刑者であっても、犯罪者を刑期の途中で刑務所外に出してしまうことに反対する声が続々。当然のように、市民や地元議員などから批判がおきた。

こうした反応に、刑務所側は「外出させる受刑者は、事前に厳しく評価を行う」(サンデー・エクスプレス紙より)と理解を求めたものの、結局は市民の不安を払拭することはできず、賞品の取り下げを決定。くじ自体はそのまま行われ、「今後は適当とされる賞品を考える」(英放送局BBCより)という。 


☆英国の刑務所あれこれ
消毒用ジェルからアルコール生成(2009年9月)
ポートランド島にある刑務所で、インフルエンザ対策などのために用意された消毒用ジェルから、受刑者がアルコールを生成したことが発覚。消毒用ジェルをやかんに集め、熱を加えて蒸留することで液体のアルコールを取り出し、受刑者が“酒盛り”を楽しんでいた。

刑務所でゲーム機(2009年7月)
「カテゴリーB」の受刑者を収容するライヒル刑務所が、プレイステーション3、Xbox360、Wiiの禁止を決定。ネット接続機能が外部との接触に用いられる可能性が指摘されたためだが、この決定に受刑者から不満の声が上がった。ただし、プレイステーションとプレイステーション2の持ち込みは認められている。

セクシー過ぎる看守(2009年7月)
ブリンスフォード少年刑務所に勤務していた女性看守が「セクシー過ぎる」と話題に。美しいことが原因で同僚からいじめに遭い、仕事を辞めざるを得なくなったと、補償を求めて裁判を起こした。

本物の受刑者が運営するレストラン(2009年5月)
受刑者の社会復帰を目的に、受刑者が調理や給仕を行うレストラン「ザ・クリンク」がハイ・ダウン刑務所内にオープン。ロンドンの高級フレンチレストラン「ミラベル」でシェフを務めたAlberto Crisci氏が発案し、アイデアに賛同した刑務所側が30万ポンド(約4,700万円)を拠出した。食器はすべてプラスチックを採用。パンに使われるイースト菌もアルコールの製造が可能として厳重に管理されている。

子どもが刑務所を「社会科見学」(2008年4月)
少年犯罪を防ぐ目的で、プレストンにある刑務所で子ども向けの社会科見学を実施。刑務所の中を見学するほか、本物の受刑者から話を聞き、塀の中の生活を24時間体験できるツアーが提供された。

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