皆既日食で鹿児島に天文ファン殺到、部分日食地域でもイベント開催。

2009/03/07 22:15 Written by Narinari.com編集部

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今世紀最大級の皆既日食が7月22日、パキスタンから日本を含む太平洋上にかけて観測可能となる。部分日食や金環日食と違い、太陽全体が月に隠れる皆既日食は、観測できること自体が珍しく、日本での観測は63年の北海道以来46年ぶり。さらに今回は、日本での観測が世界で最も条件が良いため、世界中の天文ファンから熱い視線を浴びている。

国内でも完全な皆既日食が観測できるのは、鹿児島県種子島南部から奄美大島北部にかけての地域のみで、特にトカラ列島は絶好のポイント。同列島内の悪石島沖での観測時間は世界最長の6分39秒、悪石島で6分25秒、口之島でも5分44秒となっている。そのため、同列島への「日食ツアー」が人気を集めているようだ。

トカラ列島は行政上、鹿児島県鹿児島郡十島村に区分されており、12島中5島が無人島。宿泊施設は有人の各島に民宿が2〜5軒ある程度で、本土との往来は週2便しかない村営フェリー「としま」(定員約200人)のみだ。JTBによる「日本の秘境100選」に選ばれており、最高クラスとなる「最高僻地5級地」に指定されている。

そんな離島に、数年前から天文ファンの宿泊予約が殺到。村役場では数万人の来島を予想していたが、宿泊施設や飲食店、島内の交通手段、公衆トイレの少なさなどから、島に入れるのは皆既日食ツアーに申し込んだ人に限定した。このツアーの定員1500人は、すでに埋まっている。

屋久島も4500人の受け入れを発表しており、申し込み者8748人から抽選で決定するという。また、南部で観測ができる種子島は3月10日午前10時から定員450人のツアーをインターネットのみで受け付けを開始する予定。他島のツアーで抽選に漏れた人が多数いることから、こちらも申し込みが殺到しそうだ。このほか、奄美大島の東に位置する喜界島は700人を受け入れることを発表、4月から募集を開始する。

一方、各島のツアーにあふれた人などで鹿児島県本土でも旅行者の増加が予想される。そのため各地元自治体でもイベントを計画しており、「太陽が96%隠れる」という東部大隅半島の鹿屋市では、市の天文施設を利用して観測会や豚肉などの地元食材を振る舞う食事会を予定。県本土でもこのようなイベントを行う地域は今後さらに増えるだろう。

皆既日食にこだわらなければ、大隅半島南端の佐多岬では太陽が98〜99%隠れ、温泉で有名な指宿市で97%、沖縄91%、東京75%、札幌50%の部分日食が観測できる。梅雨明けで晴れの確率が高いことから各島のツアーは人気が高いが、ツアーに参加できなくても皆既日食に近いところで地元料理を楽しみながら観測するのも良い旅行になりそうだ。ちなみに、次の日本での皆既日食は、2012年と2030年の金環食を経て、中部・関東地方の一部で見られる2035年9月だという。

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