学校への車送迎は逆に危険? 子供の交通安全認識不足を警告。

2008/05/27 23:28 Written by コジマ

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近年、通学時の児童・生徒を狙った犯罪が多発しており、近距離でも学校まで自家用車で送迎する家庭が増加している。このことについてネットでも賛否両論が展開されているが、防犯上やむを得ないとする意見が多いようだ。

その一方で、自家用車での送迎の増加によりさまざまな問題も発生しており、新潟県のある高校では「校地内での事故防止のため、送迎の際は学校前の路地及び校地内には入らずに、校地外での広い道路で生徒を乗降させてくださいますよう御協力をお願いします」と保護者に要請している。

こうした中、わが国と同様の状況である英国で、自家用車での送迎がかえって危険を招くとする警告が慈善団体によって発表された。英国では20年前と比べ、車で送迎される児童数は倍になっているのだとか。

この警告を発表したのは、英国の交通安全に関する慈善団体「Living Streets」。2006年の統計によると、徒歩で登下校中に交通事故に巻き込まれて死亡したケースは、10歳の28件に対して12歳では86件に急増しているという。これは中学に進学すると徒歩で通学する生徒が増えるためであるが、同団体は、小学生のときに車で送迎されている生徒は交通状況を自分で判断する能力が身につかず、徒歩で通学するようになった際に交通事故に遭いやすいと指摘。子供の安全を考慮して行っている車での送迎が、将来的に子供を危険にさらす確率を高めるとしている。

また同団体は、小学校時代から徒歩で通学している子供はより独立心が強く、友達を多く作る傾向にあるほか、車での送迎が大気汚染や交通渋滞、子供の肥満を招いているなど、それぞれの関係団体による指摘も紹介した。

これについて、「Children's Society」の会長は「子供が徒歩で通学することは、交通安全を含む独立心と生活術を学ぶ大きな機会だ。われわれの調査で多くの保護者が14歳未満の子供を管理したがることが明らかになったが、過保護は逆に子供を危険にさらすことになる。子供が自身の生活術を身につける機会を奪ってはいけない」とコメントしている。

これは日本でも当てはまること。通学時を狙った犯罪が増加している点を考慮すると悩ましいが、児童・生徒が安心して徒歩で通学できるよう、地域ぐるみの対応がいっそう望まれる。

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