ゴールデングローブ賞中止で各業界に大打撃、損失額は87億円。

2008/01/11 21:11 Written by コジマ

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昨年11月5日に始まり、9週目に突入した現在も終息の兆しが見えない米脚本家組合の無期限ストライキ。これまで、日本でも人気の「デスパレートな妻たち」や「24」、「プリズン・ブレイク」といったテレビドラマ65本が撮影中止となるなど、おもにテレビ業界が影響を受けてきた。しかし、1月8日にはゴールデングローブ賞授賞式の中止が決定され、映画業界も本格的に危機感を感じ始めているのだ。

ゴールデングローブ賞の授賞式が中止になったのは、ストはもちろんのこと、脚本家組合の主張に米映画俳優組合が賛同したことも影響している。映画俳優組合は所属している俳優に対して授賞式に出席しないよう通達し、もし出席したらどんな有名俳優でも除名するという強行姿勢をとっている。

授賞式が予定されていた1月13日には、受賞者の名前を発表する記者会見が行われ、中継を担当するNBCはニュース番組として放送するという。同じく授賞式中止に追い込まれたピープルズ・チョイス賞の発表が惨憺たる有様だったことから、ゴールデングローブ賞も同様の状態になることが予想されているのだ。

こうして、映画ファンにとって残念な決定となったゴールデングローブ賞授賞式中止だけど、各業界はそれ以上の大打撃を受けている。3時間の中継を1時間のニュース番組に変更させられたNBCは、授賞式で見込まれていた広告収入1500〜2000万ドル(約16億〜22億円)が入らなくなり、同賞を主催しているハリウッド外国人記者協会はNBCが支払うライセンス料が得られなくなっただけでなく、すでに準備を進めていたため会場、セット、照明、スタッフなどの費用が無になった。ライセンス料を合わせて、損失額は700万ドル(約7億6000万円)ともいわれている。

このほか、パーティーの中止でも多くの損失を出し、ホテル、リムジン会社、宅配便会社、アパレルメーカーなどを合わせると、ハリウッドを含むロサンゼルス郡全体の損害額は8000万ドル(約87億円)にものぼるのだとか。また、スティーブン・スピルバーグ監督が同賞でセシル・B・デミル賞を受賞する予定だったのだけど、授賞を来年に延期している。

ストの影響はこれだけにとどまらず、エンターテイメント産業で成り立っているハリウッドでは、業界に従事している人だけでなくケータリングサービスを行っている飲食業界などでも失業者が続出しており、1月10日には大手映画会社のワーナー・ブラザースが社員1000人を一時解雇することを決定した。

脚本家協会はストが終結しない限りアカデミー賞授賞式のボイコットも表明しており、これが現実になった場合の損失額は今回の2倍近い1億3000万ドル(約140億円)と推定されている。そうなると、米エンターテイメント業界の衰退につながりかねない。これまで14億ドル(約1500億円)の損失をもたらしているという今回のストライキ、早期の終息が望まれるのだ。ちなみに、アカデミー賞の主催者である米映画芸術科学アカデミーは授賞式の決行を表明している。

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