プロ野球選手の8割が「引退後の生活に不安」、貯蓄者は4割未満。

2007/12/17 23:54 Written by コジマ

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福留孝介外野手(シカゴ・カブスへ)や黒田博樹投手(ロサンゼルス・ドジャースへ)らフリーエージェント(FA)宣言選手の行方が次々と決定し、トレードや契約更改が盛んに行われるなど、今オフのストーブリーグもいよいよ大詰めを迎えている。福留選手が4年総額4800万ドル(約53億円)、黒田選手が3年3520万ドル(約40億円)など驚きの額で契約、その一方でオリックスの清原和博内野手が9000万円ダウン、阪神の今岡誠内野手が6000万円ダウンでサインするなど、毎年のことながら選手によって明暗がはっきりと分かれているのだ。また、ヤクルトの古田敦也選手兼任監督やロッテの黒木知宏投手ら多くの選手が球界を去ることになった。

引退する選手は当然ながら来年からの給料がなくなるわけで、古田監督や黒木選手みたいに解説者などへの道が残されている一部の選手を除いて、野球関係以外にも就職先を求めなければならない。元阪神の伊良部秀輝投手(米ロサンゼルスでうどん店経営)や安達智次郎投手(兵庫・鳴尾で牛鍋店経営)など成功している人たちもいるけれど、それはほんの一握り。生活に困った末に、04年に元ロッテ小川博投手が強盗殺人、05年には元巨人の松岡正樹投手が強盗致傷を犯すという悲しい事件も発生しているのだ。

こうした選手の「セカンドキャリア」について、プロ野球よりも年俸が低く選手生命も短いJリーグでは02年にキャリアサポートセンターを開設しており、04年には日本オリンピック委員会(JOC)も強化指定選手を支援するプロジェクトを発足させている。日本プロ野球機構(NPB)も遅ればせながら今年10月に支援活動を始めたのだけど、その一環として実施されたアンケートで、75.8%の選手が「引退後の生活に不安がある」と回答していることが明らかになったのだ。

この調査は、10月の秋季教育リーグに参加した18〜37歳の283選手(平均年齢24.1歳)を対象に、無記名アンケート形式で引退後への意識を聞いたもの。教育リーグに参加しているのは2軍選手ばかりなので約8割の選手が引退後に不安を抱えていることは不思議でないものの、引退後に備えて貯蓄など「何か備えをしている」と答えたのが38.0%にとどまっている点にはちょっと驚いたのだ。昨オフに育成選手として400万円で中日と契約した中村紀洋内野手(その後600万円にアップ、今オフの契約更改で5000万円に)が税金の支払いに苦労したことが話題になったけど、中村選手も貯蓄していなかったことが報じられている。

NPBはインターンシップやOBによるキャリア交流会などを充実させているJリーグにならい、自由契約となった選手の再就職支援や進路相談を積極的に行っていくとしている。しかし、選手の意識を変えない限り、引退後に苦しむ人は減少しないかもしれない。


☆今季プロ野球を退団した選手(12月17日現在、外国人を除く)

【巨人】
前田幸長投手、三木均投手、酒井順也投手、川中基嗣内野手、十川孝富内野手、三浦貴外野手
【中日】
樋口龍美投手、デニー友利投手、三澤興一投手、渡邉博幸内野手、鎌田圭司内野手、金本明博内野手
【阪神】
三東洋投手、相木崇投手、水落暢明投手、大橋雅法捕手、上坂太一郎内野手、中村豊外野手
【横浜】
堤内健投手、稲嶺茂夫投手、佐久本昌広投手、後藤伸也投手、飯田龍一郎投手、ミツル(田中充)外野手
【広島】
梅原伸亮投手、佐々岡真司投手、田中敬人投手、仁部智投手、岡上和典内野手
【ヤクルト】
高津臣吾投手、田中充投手、宇野雅美投手、山田裕司投手、石堂克利投手、古田敦也捕手兼監督、鈴木健内野手、丸山泰嗣内野手
【日本ハム】
鎌倉健投手、立石尚行投手、中村渉投手、田中幸雄内野手
【ロッテ】
吉井理人投手、山崎健投手、土居龍太郎投手、黒木知宏投手、藤井宏海内野手
【ソフトバンク】
倉野信次投手、田之上慶三郎投手、川口容資投手、大野隆治捕手、稲嶺誉内野手、伊奈龍哉外野手
【楽天】
河本育之投手、徳元敏投手、吉田豊彦投手、富岡久貴投手、藤崎紘範投手、長坂健冶捕手、関川浩一外野手、辻竜太郎外野手
【西武】
河原純一投手、石井貴投手、松川誉弘投手、宮越徹投手、黒田哲史内野手、石橋尚到内野手、柴田博之外野手、内田和也外野手
【オリックス】
妹尾軒作投手、吉田修司投手、松村豊司投手、町豪将投手、長田勝捕手、水口栄二内野手

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