ホッピー、“健康飲料”として女性にブームも「地道にやっていきたい」。

2006/09/19 23:08 Written by コジマ

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最近、飲酒運転による死傷事故が続々と報道されており、朝日新聞では自動車製造会社にまでその責任を追及するような記事が掲載されていたけど、やはり“元凶”として取り上げられることの多いお酒。でも、クルマに乗らないで適度に飲む酒は、サラリーマンにとっては大切なストレス発散法なのだ。そんな、サラリーマンを中心に“オジサンが愛する酒”であるホッピーが、低カロリーでプリン体ゼロという健康飲料のため、若い女性に人気なのだとか。しかし、健康に良いと判明したのは、つい最近のことだというから面白い。創業58年ながら社員数33人というホッピービバレッジは、こうしたブームもどこ吹く風。「これまで通り、お客さまの顔が見える営業で、地道にやっていきたい」と、マイペースな姿勢を崩さないようなのだ。

ホッピーは、麦芽やホップなどを原料としたアルコール度数0.8%の炭酸飲料で、ノンアルコールビールの一種。ホッピービバレッジの前身であるコクカ飲料が、戦後間もない1948年に発売した。当時はビールがとても高価で、庶民にとっては高嶺の花。そんなビールの代わりに、ホッピーを安い焼酎で割ることが大流行。大衆居酒屋などでは定番の飲み物となったのだ。

しかし、日本の経済状況が良くなるに従って、ビールがそれほど高いものではなくなり、居酒屋や家庭での主役の座を奪われてしまった。大衆居酒屋で出されていたこともあってホッピー=オヤジの飲み物という構図が出来上がり、バブル崩壊後にはオジサンたちに再び愛されるようになったのだけれど、若者は見向きもしなかったのだ。

しかし、03年にホッピービバレッジが、55周年を記念して大幅なリニューアルを行った。家庭用のパッケージの変更やポップな広告を出したのだけれど、ここで一番の収穫は、調べてみたら健康によいことが分かったということ。55年も検討しなかったなんて、「経営努力が足りない!」と怒る人もいるだろうけど、のんびりした雰囲気が同社らしくて憎めないのだ。イメージキャラクターであるあのとぼけたクマも、なんだかいい味出してるし。

この健康アピールが功を奏して、お酒が好きだけど健康も気になるという女性や若い人たちの間で評判となり、同社が驚くほど売り上げも回復。今年度には22億円を記録したという。Narinari.comでも紹介したとおり、日経MJ(日経流通新聞)が選ぶ「2005年上期ヒット商品番付」では、「西前頭」に選ばれている。同年の「前頭」には、先日マザーズに上場して値が付かないほど人気だったmixiや、PSP/ニンテンドーDSなどが選ばれており、イザ!の言うように「大ブレーク」するのかどうか、注目なのだ。

しかし、のんびりしたホッピービバレッジは、そんな周囲の声もどこ吹く風。「一時的なブームに終わらせたくない。これまで通り、お客さまの顔が見える営業で、地道にやっていきたい」(イザ!より)と、堅実でマイペースな姿勢を崩さないようなのだ。

ぼくも、焼酎をビールみたいな炭酸飲料で割るなんて、想像するだけで気持ち悪くて飲めなかったのだけれど、先日、飲み屋に遅れて行くと、女性を含めた友人全員がホッピーで割った焼酎を飲んでいた。ぼくが「うえー」と拒絶反応を示したのだけれど、「騙されたと思って」という友人の勧めに負けて注文したのだ。すると、なかなかイケるではないか。焼酎を「ナカ」、ホッピーを「ソト」というそうで、どちらかが足りなくなると別々に追加できるため、自分の好みの濃さで飲めるのも魅力的。経済的だし、これからはどんどん頼んでみようかなあ。ちなみに、「ナカ」に「ソト」を入れたあとに混ぜると、ホッピー通たちから一斉に非難を浴びてしまうのでご注意を。なんでも、邪道なんだとか。そんなこと言われたって、初めてなんだもん、知らないよ。

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