膨らむ市場を見込んで中高年向けフリーペーパーが続々創刊。

2006/06/15 21:42 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


「団塊の世代」の定年が始まる2007年、こうした社員を抱える企業にとってはなんとも頭の痛い問題なのだけれど、遊びに飢えている世代が豊富な退職金とともに時間を手にするとあって、ビジネスチャンスも増えているのだ。近年、街に氾濫しているフリーペーパーもこの市場に目をつけ、中高年向けのものが続々創刊しているようなのだ。

近年、中高年向けの市場が活気を呈している。以前Narinari.comでも、3輪バイクのトライク人気中高年ライダー増加のニュースをお伝えしたのだけれど、企業にとってこの市場の魅力は、若年層と違ってお金を持っていること。中高生より中高年のほうが、バイクにしろ楽器にしろ高級機を購入する確率が高いのだ。もちろん、飲食店も高級なところが中心となるので、広告料は必然的に高く設定できる。また、活気を呈している市場への参入が相次いでいるため、しばらくは広告に事欠かないことが見込まれる。実際、中高年向けのライフスタイル提案誌はここ2〜3年で増えているし、雑誌を手に取ってみると、広告量も順調のようなのだ。

産経新聞の記事で紹介されている中高年向けフリーペーパーは、東京メトロの59駅に置かれている「ゴールデンミニッツ」(12万部)、東京・大阪の料亭などで配布している「5L」(30万部)、東京と神奈川の新聞折り込みとして配布されている「GAZEN」(50万部)の3誌。ともに昨年から今年にかけて創刊されているのだ。

先月に創刊したばかりの「ゴールデンミニッツ」(毎月26日発行)は、矢沢永吉が表紙&巻頭インタビューを掲載した第1号で「妻とのコミュニケーション」を特集で取り上げている。熟年離婚が問題になっている昨今、これはなかなか興味深い内容なのだ。ファッション、クルマ、ビジネス、マネー、食、美容、健康、本、映画、音楽などの情報が掲載され、立松和平や長谷川京子のコラムが連載されている。この創刊号は、「矢沢効果」もあってわずか3日でなくなったそうなのだ。

また、吉本興業の元常務が編集長を務めるという「5L」も、最新号で矢沢永吉を表紙&特集で取り上げている。永ちゃん人気にあやかるのはよいけれど、この手の雑誌って何かワンパターンな気がするのだ。あ、でも連載にある画家・横尾忠則の温泉紀行エッセイはちょっといいかも。ちなみに、「5L」では秘密基地のアイディアを募集中だそう。

しかし、こうしたフリーペーパーは、基本的にすべて記事体広告、つまり記事のふりをした広告が多い。普通の記事を装って、しっかりとバックに付いている企業に有利なように読者を誘導していく。「タダより怖いものはない」なのだ。中高年はフリーペーパーに慣れていないため、フリーペーパー流通業者は「読者は自分の責任で情報を見極める目を持つことが大切」(産経新聞より)と警鐘を鳴らしている。うーん、これは中高年に限ったことではないし、フリーペーパーに限ったことでもないのだ。

今や、雑誌は発行部数を全部売り切っても、広告料がなければ赤字なんだそう。そうなると必然的に広告主の発言力が強くなり、中立な記事の掲載が困難になっている雑誌も多いのだ。フリーペーパーより、こうした雑誌のほうがよっぽど怖い気がするのだけれど……。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.