消費大国・英国内のゴミ、価値は年間1兆円に。

2006/05/27 21:47 Written by コジマ

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先日Narinari.comでもお伝えしたように、世界人口が真似するとたった4.5カ月で1年間の資源を使い切ってしまうという消費大国・英国。そんな英国で出されるゴミについて物々交換や就職情報などを扱うロンドンの地域コミュニティーサイトgumtree.comが調査したところ、まだ使用できるのに捨てられている物の価値が、英国全体で年間56億ポンド(約1兆1700億円)にものぼることが明らかになったのだ。コンピュータや家電が多いなか、発売してからそれほど経過していないアップル社の「iPod」も20万台が捨てられていたのだそう。

調査は、英国の成人1400人を対象に、この1年間にゴミとして捨てたまだ使える物について聞いた。ゴミの内訳は、コンピュータが約100万台、DVDプレーヤーが120万台、テレビが130万台、iPodが20万台、CDが1500万枚で、「大人のおもちゃ」も200万個近くあったのだそう。また、なんらかの理由で行くことができなかったスポーツや芸術などの興行チケット180万枚にのぼり、こうした“ゴミ”の価値は56億ポンドにも達したそうなのだ。まあ、国内最高峰の山頂にピアノが捨ててあったという英国だけに、さもありなんといった感じだけど。

捨てた理由で最も多かったのが、「引っ越しで荷物を軽くするため」。たしかに引っ越しの際は極力荷物を減らしたいし、自分の処分したい物を欲しがる人がたまたま近くに見つかればいいけど、引っ越しで忙しいとどうしてもそういった人を探す努力を怠ってしまうのだ。しかし、カナダの「ネットわらしべ長者」の例もあるし、きっと世界のどこかでその“ゴミ”を欲しがっている人がいるはずなのだ。調査でも、対象者の90%がgumtree.comのような物々交換や売買情報のサービスを知っていれば利用していたと答えているそう。

しかし、同サイトは「有効に活用してほしい」とする一方で、「無料で手に入れるということが必ずしも節約につながるとは限らない。gumtree.comを単に不要品のゴミ捨て場とするのではなく、誰かが喜ぶような品物を出品してほしい」と釘をさしているのだ。でも、誰がどんな物を喜ぶかという基準は、なかなか推し量れないのだ。まあ、節度を持って利用しろということなのだろうけど。

また、英国では自治体の粗大ゴミ回収に30ポンド(約6200円)かかるため、調査対象の80%が自治体を通したゴミの処分を躊躇するという結果も出ている。そういう場合どうしているかというと、隣人の粗大ゴミ回収用の箱(スキップ)にこっそり入れるそうなのだ。驚くことに、調査対象の半数以上がこうしたことをした経験があると答えている。うーん、モラルがないのだ。

これは英国ばかりの話ではなく、日本でもまだ使える物を捨てたり、粗大ゴミの回収料金を支払いたくがないために不法投棄したりする人たちが後を絶たないのだ。また、個人よりもむしろ企業から出るゴミのほうが多いと推計され、企業は物々交換や売買を行わないところが多いため、この問題の解決には時間がかかりそうなのだ。基本的に壊れるまで使い、壊れる前に新しい物が欲しくなったら他人に譲るというサイクルが、個人・企業を問わずに確立されたらいいなあ。

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