“飲む発毛剤”厚労省が国内販売承認、11月末ごろ発売へ。

2005/10/12 06:49 Written by コジマ

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“飲む発毛剤”として話題沸騰の男性用脱毛症治療薬「プロペシア」(一般名フィナステリド)を、厚生労働省が11日に国内での輸入販売を承認したのだ。これを受けて、日本での発売元である万有製薬が11月後半にも販売を開始するとのこと。世界初の飲むタイプの発毛剤として世界60カ国で大ヒットしている同薬の承認・販売により、発毛・育毛剤市場が大きく影響を受けそうなのだ。

脱毛は、男性ホルモンのテストステロンが5α-リダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロンというホルモンに変わり、このジヒドロテストステロンが毛母細胞の働きを抑えるたんぱく質を作ることによって起こるのだけど、フィナステリドは5α-リダクターゼの働きを抑え、テストステロンがジヒドロテストステロンに変換されるのを防ぐことによって脱毛を防ぐのだとか。大正製薬から発売されている「リアップ」の主成分ミノキシジルが頭皮の血管を拡張して発毛を促すのとは作用の構造が違うようなのだ。

また、ミノキシジルが血圧を下げる薬の副作用として発毛が確認されたのと同じように、フィナステリドも前立腺肥大症の治療薬の副作用で発毛が発見されたのだ。ちなみに、プロペシアの発売・生産元である米メルク社(万有製薬は同社の100%子会社)は、前立腺治療薬としては「プロスカー」という名前で販売しているのだ。

今回、販売が承認されたのは「プロペシア錠0.2ミリグラム/1ミリグラム」の2種類で、1カ月分が約7000円になる見通しだとか。同薬は現在、欧米での評判を聞いて一部の医療機関や患者が個人輸入しているため、承認に携わった人の話では「適切の使用のために承認を急いだ」のだとか。販売が承認されたとはいえ、現在国内で発売されている発毛剤と違って医師の処方箋が必要となり、保険適用外のため診察料と薬代は全額患者が負担しなきゃいけないのだ。また、勃起不全や肝障害などの副作用も報告されている。

気になる効果のほどは、リアップなどの塗るタイプの外用剤より高い効果が期待できるそうで、読売新聞の記事によると、東京医科大学の坪井良一教授が「目に見えて頭髪量が増えるという意味では、フィナステリドの方が高い効果が期待できる」とコメントしているのだ。また、頭頂部が薄い「O形ハゲ」だけでなく、今までの外用剤で効き目が低かった生え際が薄い「M字形ハゲ」にも効くとのこと。なんとも心強いのだ。さらに、先述の通り外用剤とは作用のメカニズムが違うため併用もでき、併用した場合の効果アップも期待できるのだとか。

しかし、薬代を含めた治療費は1カ月3万円にものぼるみたいだし、効果は6カ月で頭打ちになり、服用をやめると再び脱毛が始まるのだそう。さらに、万有製薬が国内の男性型脱毛症患者約400例(20〜50歳)を対象に臨床試験を行ったところ、プロペシア服用群で髪の毛の本数や長さ、太さが改善したのは58%だけだったという結果が出ているのだ。たしかに今までの外用剤に比べれば高い効果だけど……。月3万円で当選確率58%の賭けが高いか安いか、人によりけりなのだ。二親等以内の親族がすべてハゲというサラブレットなぼくでも、月3万はキツいかも。所ジョージや竹中直人を目指すしかないのだ……。

余談だけれど、先述したメルク社が前立腺治療薬として発売しているプロスカーは、プロペシアと同じ値段で成分が5倍多いため、欧米ではプロスカーを購入して錠剤を割り(割り線が入ってないのでピルカッターで切断する)発毛剤として服用している人もいるのだとか。個人輸入だとプロスカーは1万2000円程度。たしかにお得だけど、副作用出現時や他の薬剤との飲み合わせなどを考えると、発売されたらちゃんとお医者さんに処方してもらったほうがよいのだ。

さらに、プロペシアは男性用の治療薬であり、女性は服用はもちろんのこと接触も避けて下さいとの注意書きがあるそうなのだ。なんでも、出産児に尿道下裂という生殖器官の奇形を引き起こす恐れがあるとのこと。ただ、男性が服用していても女性に何らかのリスクを与えることはないみたいなのだ。

発毛・育毛剤市場は、リアップが発売された1999年には610億円に達したのだけれど、現在は350億円程度と見込まれているのだ。この減少した市場に内服薬のプロペシアが参入することにより競争の激化が予想されるのだけれど、サンケイスポーツの記事によると、5月に新商品「薬用アデノゲン」を発売したばかりの資生堂は「私たちの商品は医薬部外品で、強力なライバルだとは考えていない」としているのだ。たしかに、ドラッグストアなどで手軽に買える外用剤と、高額の治療費を支払って医師の診察を受けてまで毛を生やそうとする人を対象としているプロペシアのターゲットは一致しないんだろうけど、パイのなかから一部が奪われるのは確実なのだ。

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