ビール市場の救世主? プレミアムビール市場に活気。

2005/09/14 09:10 Written by コジマ

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8月に発表された中間決算で、「第3のビール」の販売が好調なもののビールと発泡酒がそれぞれ前年同期比8%減、20%減し、ビール大手4社(キリン、アサヒ、サッポロ、サントリー)は経常減益、特に「第3のビール」を先行してきたサッポロは、各社の参戦により赤字となったそうなのだ。この大手4社に沖縄のオリオンビールを加えたビール主要5社が今月12日に発表した8月のビール関連飲料出荷量は、前年同月比5.6%増だったそうだけど、このうち「第3のビール」が占める割合は16%にものぼり、安価な「第3のビール」販売増で収益は悪化の一途をたどっているようなのだ。そんななか、高級なプレミアムビールの売り上げが伸びているそうで、「ビール市場の救世主となるかもしれない」(佐治信忠サントリー社長)と、各社は期待しているのだ。

プレミアム市場に火をつけたのが、先日、モンドセレクションの最高金賞を受賞したサントリービールの「ザ・プレミアムモルツ」。7月には品切れとなるなど、25.5%の売り上げ増になったのだとか。この市場の8割を占めるというサッポロビールの「ヱビス」も1%増、8月から缶シリーズを発売したキリンビールの「ブラウマイスター」は6倍、3月に全国発売したアサヒの「熟撰」も好調のようで、各社は増産で対応しているそうなのだ。各社のプレミアムビールを見てみると、

●キリンビール
「ブラウマイスター」「まろやか酵母」「豊潤」「WhiteAle」

●アサヒビール
「熟撰」「こだわりの極」「富士山」

●サッポロビール
「ヱビス」「ヱビス〈黒〉」

●サントリー
「ザ・プレミアムモルツ」

どのビールもほとんどが今まであったのに、なぜ今回、突然売り上げが伸びているのだろうか。朝日新聞によると、「不況で節約生活を続けてきた消費者が、週に一度くらい高級ビールを飲むことで、手っ取り早く生活の余裕を感じたいと考えているのではないか」(電通消費者研究センター・北風裕子氏)としているのだ。まあ、夏場はギフトシーズンなので、贈答用の高級ビールが伸びたとする考えもあるけれど。この好調に乗っかろうと、アサヒビールでは今月21日に酵母が違う4つのビール「酵母ナンバー」を、11月には時間とともに味が変化するという「刻刻の生ビール」を発売。プレミアム発泡酒の「麦香る時間」も7日から発売するのだ。ちなみに、「酵母ナンバー」は1000名の試飲モニターを募集中

また、各社とも飲食店向けにビールの注ぎ方などをレクチャーするセミナーを開いており、従業員とアルバイトが全員参加した飲食店では売り上げが伸びたのだそう。うーん、やはり注ぎ方も大事なのだ。ある飲食店関係者の話では、「ビール会社主催のセミナーは、販促イベントなのでかなり待遇がいいんです。ビールは飲み放題、食事も出て無料なんですよ」とのこと。キリンビールでは、札幌、仙台、東京、静岡、名古屋、広島、福岡の7か所で一般向けの「ビールの教室 」を開いており、ビールの歴史や原料、製造工程の説明や正しいグラス洗浄の仕方、プロも実践している3度注ぎなどを無料(応募多数の場合は抽選)でレクチャーしてくれるのだそう。静岡、広島、福岡の会場では「ワインの教室」も開催。興味のある人はぜひ。

「いいものには金を惜しまない価格の二極化の表れ」と分析されている通り、普段、発泡酒や「第3のビール」でがまんしている人は、ビールを飲むときには普通のではなくちょっと高級なものを飲んで日頃のうっぷんを晴らしたいと思うのが心情。プレミアムビールの需要は「第3のビール」の売り上げに比例して、今後も伸びていきそうなのだ。

ちなみに、ぼくの贅沢は「ギネス」なのだ。

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