きっと携帯電話を利用しているユーザーなら誰でも一度はそのシチュエーションに出会ったことがあると思うなりが、機種変更をする際に、新しい端末に移動できないデータがあることについて簡単な説明を受けるなりよね。基本的には電話帳やブックマークの移動はできるなりが、着メロやアプリ、待ち受け画像などの有料コンテンツについては「ムリです」と言わてしまうなり。
まあ最近はメモリカードやパソコン用のバックアップソフト経由で移動できるコンテンツも増えてきてはいるなりが、ガチガチに著作権保護されたコンテンツはどうあがいてもムリ。せっかく数百円の料金を支払って手に入れたデータを移動することができず、トホホな気分になった経験を持つ人も多いと思うなりよ。コ○助も、これまであんなデータやこんなデータを泣く泣く手放し、もう二度と手に入れることができない(入手先すら忘れてしまう場合がほとんど)という状況に何度直面したことか(笑)。
こうした有料コンテンツの移動ができないことについて、キャリアとユーザーの間で当然ながらトラブルも起こっているようで、国民生活センターにこんな苦情が寄せられていたなりよ。
【苦情の概要】
ユーザーAさんは携帯電話端末に不具合が発生したため、無償で端末を交換。交換前にキャリア側から「ダウンロードした有料コンテンツは著作権上の問題から新しい携帯電話端末に移すことができない」と言われる。交換の原因は携帯電話会社にあるにもかかわらず、有料で取得したコンテンツを失うのは合理性がなく、納得できない。支払った情報料を返還して欲しい。
このケースはユーザーが能動的に機種変更をしようと思ったわけではなく、端末の故障のため機種変更を余儀なくされたもの。ゆえにAさんには全く「有料コンテンツを手放す理由」がない状況なり。厳密には能動的な機種変更の際に有料コンテンツの移動ができないこととは状況が異なるなりが、キャリア側の「ダウンロードした有料コンテンツは著作権上の問題から新しい携帯電話端末に移すことができない」という考え方自体は同一なりよね。
国民生活センターの消費者苦情処理専門委員会はこの苦情を受けて、キャリア側の主張に問題がないか、検討を開始。結論として次のような見解をまとめたなりね。
・著作権法上、端末の不具合だからといってキャリア側がコンテンツを引継ぐ義務はない。
・ただし、キャリア側はユーザーが有料コンテンツを失うことに対する賠償責任は生じる。
・キャリア側は契約約款でこの責任を否定しているが、消費者契約法に抵触し、当該免責条項は無効と考えられる。
簡単に言ってしまえば、著作権はコンテンツプロバイダが保有しているため、キャリア側に有料コンテンツの移動義務は無いものの、それによって損害を被るユーザーに対して料金返還をする必要はありますよ、ということなりか。
今回は端末の不具合による機種変更に端を発した問題なりが、そもそもは有料コンテンツの扱いに関してキャリア側有利の取り決めがあったことが問題なわけで。国民生活センターの見解に何か力があるわけでは無いなりが、キャリア側はこの見解を真摯に受け止めて、もう少しユーザーに優しい仕組みにしてくれると嬉しいなりよね。現在、すでに各社とも社内で検討中ということなので、今後の改善に期待したいものなり。