「ヒョーショージョー」のジョーンズさん死去。

2005/02/06 15:46 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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ううう、なんとも惜しい方がお亡くなりに。

以前大相撲の千秋楽に優勝者に向かって、たどたどしいカタカナ日本語で表彰状を読みあげる、羽織袴の外国人のおじさんがいたのを覚えていませんでしょうか。昭和40年代生まれの私にとっては子供時代、かなりインパクトがあった方なんですが。

彼はデビッド・ジョーンズさんという、サンフランシスコ出身のアメリカ人。元パンアメリカン航空の極東支配人として日本でお仕事をなさっていました。この航空会社が大相撲のスポンサーになっていたことから、土俵上で賞状とトロフィーを渡す役をおおせつかって、なんと61年から91年までの30年間、それをずっと続けられた人物です。

で、このジョーンズさん。何がそんなに印象に残っているかといいますと……。本来厳粛な大相撲の表彰式にて、彼はその独特のイントネーションと、妙に場違いでカジュアルなセリフで、力士達をねぎらっていたからなんですね。彼の名前や立場は知らなくても、

「ヒョーショージョゥ、アンタハエライ!」

というのは、私世代が子供の頃は絶対知っていたはず。本当にあれは可笑しくて、そしてほのぼのとしましたよねぇ(遠い目)。

ジョーンズさんは、この他にもいろいろ伝説的なエピソードをお持ちでした。彼が手渡していたパンアメリカン航空賞のトロフィーはとても大きな地球儀型をしていたのですが、あれはなんと42キロもあったそうなのです。それがあまりにも重すぎて、小柄なジョーンズさんは一度後ろに倒れて、尻もちをついてしまったことがあるとか。また、優勝した力士の漢字が読めず、目の前にいる本人につつっと歩み寄り、表彰状を見せながら何と読むのか聞いたりもしたそうです。さらに、九州場所などの地方巡業の際には、その土地の言葉を使って賞状を読んだそうで……。粋なはからいをしたもんだ。

その人気者だったジョーンズさんも92年には日本を離れられ、その後お仕事も引退。ご高齢のせいでしょうか、数年前からは息子さんのご自宅に移り住んでいたそうです。

そして数日前にとうとう心不全が理由で帰らぬ人となってしまいました。享年89才。ウォール真木の古き良き時代に登場する、しみじみと思い出深いジョーンズおじさん。どうかご冥福をお祈りいたします(涙)。

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