日清食品、日本初“食べられる培養肉”作成に成功

2022/03/31 22:28 Written by Narinari.com編集部

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日清食品は3月31日、日本初の「食べられる培養肉」の作製に成功したと発表した。

これは同社と東京大学大学院情報理工学系研究科 竹内昌治教授(東京大学 生産技術研究所 特任教授)の研究グループが2017年度から共同で進めている研究によるもので、この成功により「肉本来の味や食感を持つ『培養ステーキ肉』の実用化に向けて大きく前進しました」としている。

「食べられる培養肉」の作製には「食用可能な素材のみを使用すること」「研究過程において食べられる制度を整えること」の2つの大きな課題があったそう。これまでの「培養肉」は、牛肉由来の筋細胞と食用ではない研究用素材で作製していたが、今回、日清食品HDと竹内教授の研究グループは、独自に開発した「食用血清」と「食用血漿(けっしょう)ゲル」(※いずれも特許出願中)を使用することで、食用可能な素材のみで「培養肉」を作製できるようになった。この研究成果は「第21回 日本再生医療学会総会」において、2022年3月17日に発表している。

また、この成果をもとに、日清食品HDが「食の安全」に関する知見を生かして構築した「培養肉」を食べるまでのプロセスについても、東京大学の倫理審査専門委員会から承認された。「素材」と「制度」という2つの課題をクリアしたことで、産学連携の「培養肉」研究において日本で初めて「食べられる培養肉」を作製。3月29日には研究関係者による試食が行われた。


☆「食用血清」および「食用血漿ゲル」について

「培養肉」を作製するためには、一般的に「細胞」「栄養成分」「足場材料」が必要。日清食品HDと竹内教授の研究グループが独自に開発した「食用血清」は、細胞を育てるために必要な栄養成分である「培養液」の素材として使用する。また、同じく独自開発した「食用血漿ゲル」は、立体筋組織(培養ステーキ肉)を作製するために必要な細胞の足場材料となる素材だ。

既存の食用素材だけでは十分な栄養成分の供給や立体筋組織の構築が困難だったが、今回開発した「食用血清」と「食用血漿ゲル」を使用することで、細胞の生育に適した条件で培養することが可能になった。

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