「銀座ライオンビル」が国の登録有形文化財に

2022/03/07 17:55 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


サッポロライオンは、現存する日本最古のビヤホール「銀座ライオンビル」が、令和4年2月17日付で、国の登録有形文化財(建造物)として登録されたと発表した。

昭和9(1934)年4月8日、大日本麦酒株式会社の本社ビルとして竣工した「銀座ライオンビル」の1階に、ビヤホールがオープン。ビルおよびビヤホールの内装は、当時としては贅をつくし、工夫を凝らした造りとなっており、建築家を含め多くの人から絶大な賞賛を集めた。

戦時中は、空襲により多くのビヤホールが焼失、または疎開のため取り壊されたが、「銀座ライオンビル」は空襲を免れ、昭和20(1945)年9月11日からは進駐軍専用のビヤホールに。昭和27(1952)年1月に接収が解除され、再び一般向けに利用可能となり、現在に至っている。

「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」は、創建当時から内装はほとんど同じままで、何度来店しても「いつも同じ姿で迎えてくれるビヤホール」「思い出が詰まっているビヤホール」として愛され続け、今年4月8日で創建88周年を迎える。80年以上もの間、銀座の歴史を伝える歴史的建造物として親しまれてきたことも、今回、登録された経緯に影響しているようだ。

同社は「世代を超え愛され続けたビヤホールを誇らしく感じるとともに、今後もビヤホール文化の発信基地として生ビールを媒体とする食文化の向上と地域社会の発展に努めます」とコメントしている。


☆内装コンセプトは「豊穣と収穫」

「天下一の建物に。後世まで残る日本を代表するビヤホールに」の想いを込められ作られた空間が、銀座ライオンビル1階の「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」。

「豊穣と収穫」がコンセプトのビヤホールには、そのところどころに豊かな実りを感じさせる大麦や葡萄がモチーフの装飾が施されている。店内に一歩入ると、その歴史と風格を感じる雰囲気はまるで教会のよう。店内正面の大型ガラスモザイク壁画には、ビール大麦を収穫する女性たちが描かれており、その中にはたわわに実った葡萄や、中央には愛や平和を象徴する「アカンサスの花」が描かれている。

カウンターの両脇には、静かに存在感を放つ噴水が据えられているが、ビルの老朽化にともない、近年は使用していない。

店内の赤レンガの壁は「豊かな実りをはぐくむ大地」をイメージ。また、ホールの左右に並ぶ緑のタイルと天井に伸びる矢じり型の装飾からなる太い柱は「大麦」を表現している。

店内を照らすのは、ビールの泡をイメージした水玉模様の照明や、葡萄の房をモチーフにしたシャンデリア。厨房機器など一部は時代に合わせ改良されているが、内装のほとんどは創建当時の姿のまま残されている。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.