受け継がれるジブリの“美しすぎる背景美術”

2018/03/02 18:19 Written by Narinari.com編集部

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スタジオジブリを退社したプロデューサーの西村義明氏が、新たに立ち上げたアニメーション制作会社・スタジオポノック。その第一回長編アニメーション映画として制作された「メアリと魔女の花」のブルーレイ(デジタルコピー付き/5,800円/税別)とDVD(4,700円/税別)が3月20日に発売、3月7日には先行デジタル配信もスタートする。

本作の原作は、1971年に描かれたイギリスの女流作家メアリー・スチュワートによる児童文学。赤い館に引っ越してきたメアリは、森で7年に一度しか咲かない不思議な花「夜間飛行」を見つける。それはかつて魔女の国から盗み出された“魔女の花”だった。メアリは一夜限りの不思議な力を手に入れ、魔法世界の最高学府エンドア大学への入学を許可されるが、ある嘘をついたことで、大事件となってしまう。

メガホンを執ったのは「借りぐらしのアリエッティ」や「思い出のマーニー」などの米林宏昌監督。スタジオジブリ・宮崎駿監督のDNAを引き継いだ米林監督が独立し、「思い出のマーニー」でもタッグを組んだ西村プロデューサーと共に、新天地・スタジオポノックで手掛けた作品としても熱い視線を浴びた。

そんな本作について、今回は、実際にイギリスでロケハンをした背景を具現化した、美術チームの職人芸が冴える背景美術に注目していこう。

米林作品の美術は「借りぐらしのアリエッティ」や「思い出のマーニー」などでも高い評価を受けてきたが、今回は米林監督の真骨頂ともいうべき仕上がりとなっている。手掛けたのは、ジブリ作品の背景美術でお馴染みの男鹿和雄、武重洋二らをアドバイザーに迎えた背景美術会社・でほぎゃらりー。この会社は、ドワンゴ、庵野弘明率いるカラー、スタジオポノックの3社の出資によって生まれたスタジオで、世界一の背景美術と言われるジブリの美術部が再集結した。

美術監督・久保友孝をはじめ、11名の絵描きが手掛けたという背景の特徴は、深い色使いと手描きならではの筆使い。美術とキャラクターが一体化するように、写実的に描きすぎないバランス感も重視されている。ちなみに、“メアリの森”を描いたのは、“トトロの森”や“もののけの森”を作り上げてきた美術家・男鹿和雄。森や自然を描いたら世界一の彼が“メアリの森”を美しく神秘的に輝かせる。改めて「メアリと魔女の花」で、世界が認める“美しすぎる背景美術”を堪能しておきたい。

原作の世界観を表現するために、イギリスをロケハンに行ったと言う米林監督。メアリが住む赤い館のリビングダイニングは小粋なタイル使いや、エンドア大学のお洒落な校長室、茅葺屋根の家なども、丁寧な筆致でリアルに仕上げられている。特に、雄々しい緑の描写が秀逸だ。時間によって緑のグラデーションが変わり、咲き乱れる花畑も美しい。また、雲海を照らす月の光も実に神秘的で神々しい。その背景を舞台に、メアリたちがドラマティックな大冒険を繰り広げていく。

ブルーレイのボーナス映像には、実際に背景画を描くスタッフの姿を収めた「ZERO CULTURE スピンオフ 密着500日『メアリと魔女の花』」や、主題歌「RAIN」を手掛けたSEKAI NO OWARI×米林宏昌・西村義明 SP対談をはじめ、インタビュー映像やメイキング映像などレアなコンテンツがたくさん収録される予定だ。

「メアリと魔女の花」のブルーレイ(デジタルコピー付き/5,800円/税別)とDVD(4,700円/税別)、コレクターズ・エディション(4K Ultra HD+ブルーレイ/数量限定/12,000円/税別)は3月20日に発売、先行デジタル配信は3月7日から。

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