CLO（クロー）値という“単位”を聞いたことがあるだろうか。これは衣服の熱抵抗を表す単位で、衣服の暖かさを示す目安とされている。例えば、1CLOとは気温21.2度、相対湿度50％、気流0.1m/sの室内で着席安静の状態にしている成人男性が快適である熱抵抗（着衣量）で、この数値が高ければ高いほど着ている人の身体の暖かさを保てるというわけだ。

アメリカのXero Gear社より販売されている「ゼロベスト」は、パッケージサイズW26×H18.5（A5サイズ）、重量57gのポータブル防災用ベスト。着用方法は実に簡単で、封を開けて普通のベストのように羽織り、左右の首元のマウスピースにそれぞれ3回ほど息を吹き込んで膨らませ、中央の粘着テープで止めるだけ。開封から着用まで1分もかからず、緊急時であればあるほどその能力を発揮してくれる。また、膨らまさずにインナーとして着用することも可能だ。

驚きなのは、これだけ手軽でありながら、「ゼロベスト」は2.5CLOという高い保温力を“数値保証”していること。そもそもほとんどの衣類にはCLO値が記載されていないが、冬のスーツで1CLO、一般的な防寒服で2CLO程度とされていることから考えると、「ゼロベスト」の“2.5CLO”という数値は驚きだ。また、表面の素材はレーダーが反射し、避難救助のさいなどに見つけやすい仕様にもなっており、1回限りの“使い捨て品”であること以外は、これといった弱点が見当たらない。

日本総輸入販売元であるオーストリッチインターナショナルの瀧澤夏樹氏は「このゼロベストは昨年11月に発売されたのですが、間もなく第二世代のゼロベストが誕生予定です。そちらは中央の粘着テープがベロクロに代わり、空気も抜けるようになり、何度でも使用できるようになります。被災時は低体温症などの緊急事態から身を守ることが不可欠です。また、登山時などにも、このゼロベストをバックパックに忍ばせておくだけで、安心感がグッと高まるはず」とアピール。現在、「ゼロベスト」は2,500円程度で購入できるが、仮にリユースタイプの“第二世代“が誕生したら、これほどお買い得かつ機能的なベストはないかもしれない。