日本初の地下鉄車両、国の重要文化財指定へ

2017/03/11 06:27 Written by Narinari.com編集部

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東京メトロは3月10日、地下鉄博物館所蔵の「日本初の地下鉄車両1001号車」が、国の重要文化財に指定される運びになったと発表した。

これは10日付けで文化審議会から文部科学大臣に答申されたことを受け、発表されたもの。「1001号車」が評価された点は次のポイントだ。

◎1927年12月30日、東京地下鉄道が東洋初の地下鉄として営業を開始した上野〜浅草間2.2kmを走行した車両であり、その後1968年4月までの約40年間、一貫して、営団地下鉄(現在の東京メトロ)銀座線で活躍したこと。

◎全鋼製、自動扉、自動列車停止装置の採用などの防災・安全対策や、内装、照明、吊り手等の乗客向けの設備に地下鉄ゆえの特徴が見られ、我が国の地下鉄電車の嚆矢(こうし)であるとともに、後の地下鉄車両の規範となった車両であり、鉄道史、交通史上に重要であること。

なお、「1001号車」の重要文化財指定については、鉄道用電気車両(電車)としては初の指定であるとともに、東京メトログループの所有物においても初の指定となる。


☆車両の主な特徴
・車体は全鋼製(ドア・窓枠等一部を除く)
車体の難燃化を図るため、当時主流であった木製車両ではなく、鋼鉄が用いられた。

・日本初!自動列車停止装置を装備
日本で初めて自動列車停止装置(打子式ATS)を搭載し、安全性の向上を図った。

・当時では珍しかったドアエンジンを搭載
当時鉄道省で試験されていた国産の自動戸閉装置を搭載し、全扉の開閉を自動化した。

・吊手はリコ式(スプリング式)を採用
使用しないときはばねで跳ね上がり、走行中に左右に揺れない構造のリコ式吊手を採用した。

・客室灯はおしゃれな間接照明を設置
地下空間という環境を考慮し、直接光が入っても眩しくなく、影が出来ないよう間接照明を採用した。

☆車歴

1927年11月 日本車両製造で製造
1927年12月30日 東京地下鉄道上野〜浅草間で営業開始
1968年4月 営業運転から引退
1969年12月 展示のため営団地下鉄から交通博物館へ寄贈
1984年5月15日 地下鉄博物館開館に伴い、交通博物館から地下鉄博物館を運営する財団法人地下鉄互助会(現在の公益財団法人メトロ文化財団)へ長期貸与される
1986年7月12日 地下鉄博物館において展示開始
2009年2月 平成20年度経済産業省近代化産業遺産に認定
2016年12月5日 地下鉄博物館開館30周年を機に、東日本旅客鉄道から公益財団法人メトロ文化財団へ無償譲渡され、現在に至る

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