「ニモ」続編で最も苦労したキャラクターは?

2016/11/09 11:24 Written by Narinari.com編集部

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この夏、興行収入68億円突破のヒットを記録し、10月9日(米現地時間)には世界興行収入が10億ドルの大台を突破したディズニー/ピクサー最新作「ファインディング・ドリー」が、11月15日より先行デジタル配信開始、続く11月22日にはMovieNEXが発売される。それにあわせ、クリエイターズインタビュー第1弾として、本作でキャラクター・アートディレクターを務めたジェイソン・ディーマーのコメントが到着した。

「ファインディング・ドリー」は、カクレクマノミのマーリンが、ナンヨウハギのドリーと共に、息子ニモを人間の世界から救出した「ファインディング・ニモ」の奇跡の冒険から1年後の世界が描かれる。いつも明るくてポジティブだけど、なんでもすぐに忘れてしまうドリーが唯一忘れなかったのが家族の記憶。ドリーは家族を捜すため、ニモやマーリンと共に冒険の旅に出る。

今回のインタビューでは、前作「ファインディング・ニモ」からのキャラクターの進化や、ピクサーでの18年間で最も作りあげるのに苦労したキャラクターだというタコの“ハンク”についてなど、日本でも大人気のキャラクターの制作秘話を明かしてくれた。

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Q:前作『ファインディング・ニモ』からどういう点が進化していますか?

A:前作を作ったのは13年も前ですので、基本的に全てをゼロから作り直すことになり、とても大変な作業でした。技術の進歩によって、遥かに複雑なライティングや陰付けが今では可能です。よりリアルな映像にしながらも、複雑な最新技術だけが目立ってしまわないよう努めました。

前作『ファインディング・ニモ』のドリーの姿は、観客の記憶に焼き付いていますので、改善を加えながらも、観客の期待を裏切らないようにする必要がありました。人は、見慣れた要素に基づいて顔を認識しようとするものなので、バランスが微妙に崩れるだけで、「ドリーじゃない」と感じます。そのために、まず前作のキャラクターを細かく研究して、どの部分を利用できるかを調べましたが、これがとても大変で、まるで新しいキャラクターを作り出すようでしたね。


Q:日本では特にハンクが大人気でした。改めて、ハンクを作りあげた感想を教えてください。

A:ピクサーでの私の18年間でハンクは技術的にも最も斬新で、最も作りあげるのに苦労したキャラクターです!準備だけで2年かかったのですが、その間にハンクを入れたアニメーションのシーンは一枚も撮影されていないんですよ。タコは常に形態が変わり、「これがタコ」という形がありません。観察対象としてはとても面白いのですが、その複雑な動きの制御は非常に難しく、映画を作り上げる上で、アニメーション・チームがどうやってタコの形態を単純化してコントロールするかを見極めるのが最も大変でした。


Q:ハンクは他のキャラクターの様に正面に口がありませんが、感情はとてもよく伝わりますね。

A:口はありますよ。両目の間にあるのですが、天蓋のような外套膜の下に隠れて見えないだけです。口が隠れていることは最初からわかっていたので、制作過程で解決策を探り、話をさせるときには、この部分を頬のようにふくらませて、その下の口の動きを真似て動くことで口の動きと感情を表現しているんですよ。


Q:ベビー・ドリーはとてもキュートでした。キャラクター・アート制作においてのポイントを教えてください。

A:よけいな物を全て排除することですね。人間の場合、眼球のサイズが生まれてから大人になるまで変わらないことはご存知ですか? その周りの部分だけが成長するんです。だからベビー・ドリーの場合は、眉毛と眼球だけは大人のドリーのままにして、その他の部分を全部、可能な限り縮小しました。


Q:今年でピクサー・スタジオは設立30周年です。30年という年月についてどう思いますか?

A:信じられないですね!入社してからの18年間はあっという間で時が経つのを忘れてしまうほど楽しかったです。世界最初のフルCGアニメ―ション作品である『トイ・ストーリー』という画期的な作品に関われたことは実に光栄です。『トイ・ストーリー』以外で思い入れの深い作品を選ぶとするなら、『レミーのおいしいレストラン』です。制作にはとても苦労しました。特にキャラクター・デザインはとても大変で、落胆したこともありましたが、完成した作品は最高にすばらしく、僕の中ではまるで「ヨボヨボのフェニックスが、炎の中から新しく、たくましく生まれ変わる」的な作品になりました。最も満足しているキャラクターです。


Q:最後に、MovieNEX発売を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

A:ハンクを見て「もうタコは食べない!」と皆さんが思わないことだけを願っています。(笑)
それと、ボーナス・コンテンツに収録されている短編『ひな鳥の冒険』を必ず見てください!楽しんでいただけると思いますよ。

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「ファインディング・ドリー」は11月15日(火)デジタル先行配信開始、11月22日(火)MovieNEX (4,000円/税別)発売。MovieNEXには初回限定オンパックとして、見る角度で絵柄が変わる“ドリーのミラクル!3Dカード”が付属する。

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