二階堂ふみが“妖艶な金魚”に、室生犀星「蜜のあわれ」を映画化。

2015/07/08 06:01 Written by Narinari.com編集部

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女優の二階堂ふみ(20歳)が、映像化が困難と言われた室生犀星の原作小説を映画化する「蜜のあわれ」で主演を務めることがわかった。

室生犀星は、大正期の詩壇をけん引し、昭和期には「幼年時代」「あにいもうと」「杏っ子」などの名作小説を発表しつつも、随筆、童話、俳句と多岐のジャンルに渡って作品を発表した、近代文学史作家のひとり。

「蜜のあわれ」は、室生犀星の理想の“女(ひと)”の結晶といわれ、変幻自在の金魚の姿を持つ少女赤子と、老作家との会話で構成された超現実主義的小説。老齢した作家に室生自身を投影しているともいわれている。二階堂は、妖艶な美しさを兼ねそろえた魅惑的な少女・赤子を熱演。そして赤子と共に暮らす老作家を大杉漣が演じ、その独特の世界観を体現している。

本作は「狂い咲サンダーロード」「爆裂都市 Burst City」「逆噴射家族」などジャンルを超越した強烈な世界観で熱狂的な支持を受け、「生きてるものはいないのか」「シャニダールの花」「ソレダケ/that's it」と精力的に作品を創りつづけている石井岳龍監督がメガホンを執る。

撮影は、室生犀星の地元である富山県・金沢市を中心にロケを実施した。2016年に全国ロードショー。


☆石井岳龍監督コメント

原作はプロデューサーから薦められて初めて知りました。室生犀星は好きな詩人でしたが、最晩年にこんな小説を書いていたとは、まったく知りませんでした。くらくらしてとっても楽しいと思いました。金魚や幽霊と小説家がこんなに活き活きと会話をし続けるお話が面白くない筈がないです。

今回は以前からお仕事をしたかったけど叶わなかった初めての方々とたくさんご一緒でき、緊張もしましたが同時に大きな喜びでもありました。

脚本家・港岳彦君はじめ初対面スタッフとの仕事は大いに刺激になりましたが、20年ぶりになった撮影の笠松君との久しぶりのタッグもとても嬉しく充実しました。製作陣とも多くの再会があり記念碑的な作品になっています。現場は時間との闘いで日々乗り切るのに必死でした。原作の持つ面白さ、不思議さをいろんな側面からより映画的に豊かにしたいと欲張りました。本格文芸ドラマにファンタジー、エロス、ミュージカル要素なども盛り込まれ、それが目を見張る映像と美術世界の中に描かれます。見どころ満載の、おかしくて切なくて愛しい至福の作品になると思います。


☆二階堂ふみコメント

原作「蜜のあわれ」を初めて読んだ高校生の時から、映画化するなら絶対に自分がこの赤子という役をやりたいなと思ってました。私はあの頃の時代の小説のフェチズムがすごく強調されているところがとても好きなんです。ロリータコンプレックス的な要素や女性に対しての憧れであったりとか、色んなものが入り混じっていて。今回の私が演じた赤子はすこし自分自身が子供にかえっているような気がしています。すごく無防備で、愛おしいキャラクターです。

高野文子さんの漫画の動きをイメージしたり、知り合いの子供がやっていたことを真似してみたりとか、金魚ってこういう動きするかな……と手探りでやる作業がとても楽しかったです。人間以外の役をやるのは猫、狸に続いて、実は3回目なんですが、意外と人間以外もいけるな、と思いました(笑)。

石井監督はとても丁寧な紳士的な方で、俳優部の気持ちを優先させて下さって、やっぱり映画って素敵だな、と改めて感じた現場でした。


☆大杉漣コメント

老いゆく作家の儚さ 切なさ 可笑しみ そして あわれ !

そんな人物像に愛おしさを強く感じました。撮影は全編北陸、作品の時代性もありますが、この映画のためにこの場所があったのではないかと感じるほどの素晴らしいロケーションでした。石井岳龍監督は言うまでもなく“映画の人”です。繊細と大胆を行き来する演出は、役者冥利の時間でもありました。室生犀星のリアルな言葉に老いてなお枯れることのない“残酷な蜜”を味わっていただければ嬉しい限りです。

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