中国が日本アニメ規制に本腰か、正規配信の「寄生獣」なども閲覧不可。

2015/04/03 17:08 Written by Narinari.com編集部

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ここ数日、海外の多くのメディアが「中国文化省がネット上で閲覧できていた日本及び海外のアニメの取り締まりを強化している」との旨を報じているが、実際に確認してみたところ、多くの日本のアニメが閲覧不可となっていることが明らかになった。閲覧不可かそうでないかは、暴力&性描写などが主な判断材料になっているという。

このたび、中国政府に目をつけられたのは、大手動画サイトの数々。中国における大手動画サイトと言えば、「優酷」「土豆網」「愛奇芸」「楽視」「騰訊視頻」などが有名だが、それらにアップロードされている日本のアニメが次々と閲覧不可状態になっている。

例えば「土豆網」で正規配信されていた「寄生獣」は、1週間ほど前までは普通に閲覧できていたものが、現在は「審査中」との文字が現れ、観ることができない。また、これまた「愛奇芸」で正規配信されていた「進撃の巨人」も現時点では閲覧不可で、こうした現象はほかのいくつかの作品でも確認されており、中国の日本のアニメファンは騒然とし、掲示板などで不平不満を爆発させている状況だ。

中国政府がなぜここにきてこれまで“野放し”にしてきたネットの海外産コンテンツの規制強化に乗り出したのかは不明だが、海外のコンテンツに“自由”を許すと、国産にも影響を及ぼすことが少なからず関係しているだろう。

常識で考えれば、ネット限定とは言え、海外産コンテンツは暴力描写OKで、国産はNG。このロジックは成り立たない。そのため今回、中国政府がネットで氾濫していた、暴力描写や性描写が激しい海外産コンテンツの取り締まりに本腰を入れたことは何ら不思議ではない。テレビや映画に限って言えば、社会不安を煽るようなコンテンツに関してはこれまでも厳しい姿勢で臨んできた中国政府だけに、中国アニメ業界の関係者からは「対応が遅すぎる」との声も出ていたほどだ。

気になるのは、最近、日本と中国の間で進められて来た“正規配信”にどれほどの影響力が出るのかという点。中国の10代後半〜30代前半あたりの日本のアニメファンが日本のコンテンツに求めているのは、国産では見られない暴力性であったり、性描写であったりするのも確か。要は“エログロ”を多かれ少なかれ求めている傾向がある。中国で絶大な人気を誇る「東京喰種」「寄生獣」「進撃の巨人」といった作品には暴力描写は不可欠で、仮にこうした作品が全部閲覧できなくなるとすると、コンテンツ産業における日中ビジネスは停滞しかねない。もしくは、再び違法アップロードがメインの世界に逆戻りする可能性もある。

なぜなら中国政府の立場としては「そもそも違法アップロードだから、見て見ぬフリができる」という建前が生じ、ネットユーザーはネットユーザーで「観られるなら違法アップロードや海賊版でもいい」という“悪しき慣習”に染まってしまうからだ。

いずれにせよ、今回の中国文化省の措置は、日中コンテンツビジネスに水を差す出来事なのは確かだ。

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