エボラ出血熱への対応が限界に、国境なき医師団が西アフリカの現状報告。

2014/06/24 15:23 Written by Narinari.com編集部

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エボラ出血熱の感染拡大がアフリカ西部のギニア、シエラレオネ、リベリア各国で続いている。国境なき医師団(MSF)は感染の制御にあたっているが、その対応能力は限界に達しており、「各国政府と援助団体による大規模な対策が急務」と訴えている。

現在、エボラ出血熱の患者が確認された場所は3か国で計60か所を超え、治療と流行抑止は難しい状況に。国境なき医師団でオペレーション・ディレクターを務めるバート・ジャンセン医師によると、感染は制御できておらず、3か国では新規感染地も確認されていることから、さらに他の地域へ拡大していくリスクが高いという。同医師は「私たちの対応能力も限界です。MSFは3か国にスタッフと物資を投入していますが、これ以上多くの感染地に対応することはできません」と危機的な現状を語った。

エボラ出血熱は致死率が最高90%と非常に高いウイルス性感染症。国境なき医師団は現在、感染者を治療する唯一の医療援助団体で、今年3月の流行発生以降、現地に専門治療施設を開設し約470人を治療した。そのうち215人は確定症例だった。現在、増加する新規感染者と新たな感染地への対応に苦戦している。

今回の流行は地理的分布と感染者・死者数の点で過去に例を見ない規模。世界保健機関(WHO)の最新のデータによると、流行発生以来の症例数は528件、死亡例は337件に上る。

アフリカ西部での流行も今回が初めてで、住民の間にはこの病気への恐怖心が根深く、医療施設には疑いの目が向けられている。他方で、この病気がどのように感染していくかとの知識は乏しく、感染対策の行われていない葬儀への参列が後を絶たない。多くの団体が病気に関する啓もう活動を行っているが、人びとの不安を和らげるには至っていない。また、地域コミュニティや政治や宗教的リーダーも流行の規模を認識できておらず、対策を後押しする有力者の発言もごくわずかだ。

前述のジャンセン医師は「WHO、当事3か国、周辺国は感染の規模に応じた人的・物的資源を投入する必要があります。特に、技能確かな医療スタッフの派遣と、治療に関するトレーニングは必須ですし、感染の疑われる人に接触した人の追跡調査と啓もう活動の拡充も求められます。エボラ出血熱はもはやギニアだけの公衆衛生問題ではありません。アフリカ西部全域の問題となっているのです」と話している。

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