“自分の肉”食べてみた芸術家、手術で取り除いた骨についた肉試食。

2014/05/30 17:59 Written by Narinari.com編集部

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ノルウェー北部にあるトロムソという街に、「世界最北にある美術大学」と謳う学校がある。しかし今、この大学の名が世界最北という話題以外で、大きな注目を集めているそうだ。そのきっかけを作ったのは、このほど卒業記念展示会を行い始めた1人の卒業生。彼は展示会に、作品として自分の手術を撮影した映像や、取り出した寛骨の一部を出した上、骨についていた肉を食べたとまで話し、ノルウェーだけでなく欧米でも話題の人となっているのだ。

ノルウェーニュースサイトのザ・ローカルなどによると、話題になっているのはトロムソにある「トロムソアカデミー・オブ・コンテンポラリーアート」という美術大学を卒業した、25歳のアレキサンダー・セルヴィク・ウェンショールさん。生まれつき腰の骨が変形していた影響で、成長するに従ってさまざまな苦痛に襲われてきたという彼は、幼い頃から幾度もの手術を経験してきたそうだ。しかし21歳の時、腰の骨に金属部品を埋める手術が成功して大きな効果を上げ、これを最後に手術を行う必要がなくなったそう。

そしてその最後の手術の時、すでに美大生となっていたウェンショールさんは、手術で取り除くことになっていた骨盤の一部、寛骨を「自分のアートに使いたい」と医者に打診。同時に自分の手術の様子も展示で披露したいと、撮影の許可も求めたそうだ。当初は難色を示していた医者を、1年かけて粘り強く説得。結局、2つの条件を勝ち取って手術に臨んだ彼は、その後寛骨を自宅へと持ち帰って来たという。

それからしばらく経って、作品として展示する準備をするため、寛骨を沸騰するお湯の中に入れたというウェンショールさん。すると、煮込まれた寛骨にわずかに肉が付いていることに気付いた彼は、骨についていた肉を削ぎ落とし、自然と口の中に入れてみようと考えたという。当時、仕事中の彼女は家におらず、自分で夕食の準備もしていた彼は、自分の肉もおかずに「ポテトグラタンとワイン」と共に実食。その味は、「野生の羊のようだった」そうだ。

この経験談は、卒業記念展示会を取材に来たノルウェー地元紙の取材に応じる形で明かされ、彼は「自分の肉を食べた人」として国内外で注目の存在に。展示会では、手術時の映像や寛骨の展示に「芸術ではない」と否定的に捉える人も少なくないそうだ。ただ、自分の体そのものも「キャンバスだ」と話す彼は、作品を見た人たちが「自分や他人を見て、それぞれ体について考えるようになるのは素晴らしいことだ」と、否定的意見にも寛容な態度を示していて、作品に込めた彼の信念の強さが窺える。

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