赤ちゃんの声で暴れ象静まる、住居襲撃後のがれきも片付け森へ。

2014/03/19 20:35 Written by Narinari.com編集部

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それまでの生活圏を人間が開発、居住するようになった結果、近年象による人間や住居の襲撃例が増えているというインド。つい先日、インド東部の西ベンガル州でも森に生息している1頭の象が近くの村に現れ、1軒の家を破壊する事件が起きた。寝室の壁を壊すという象の行動にショックを受けた住民夫婦。しかし、さらに暴れるかと思われたその象は、なぜか急に動きを止めると森へ引き返していき、夫婦を驚かせたそうだ。彼らの話によれば、象が行動を変えたきっかけは寝室にいた生後10か月の赤ちゃんにあったという。

インド紙タイムズ・オブ・インディアによると、象に襲われたのは、西ベンガル州の街プルリアの西にあるオルガラ村で暮らす夫婦の家。3月10日の夜8時頃、食事をしていた夫婦は寝室のほうから大きな音が聞こえてきたため、慌てて寝室へと向かった。すると、家の壁やドアを破壊して、なおもその場に留まっていた1頭の象を目撃。しかも、壊された寝室には生後10か月になる娘が寝ており、襲ってきた象がその娘に視線を送っていたというから、その恐怖たるや想像に難くない。

この村ではヒンズー教の神である「ガネーシャ」が崇拝され、象は敬われる存在。しかし一方で、周辺地域も含めて人間による開発が進んで、森に生息している象の群れが食べ物を求めて畑や家を襲撃する事例が増えており、昨年は象に襲われて3人が命を落としたそうだ。そんな経緯もあって、娘も被害を受けるのではないかと不安に駆られた夫婦。ところが彼らの家に現れた象は、2人の前で意外な行動を取り始める。

壁を壊して、ベッドの上で泣いている赤ちゃんの姿を見ていた象は、しばらくするとそれまでの行動が嘘のように何もしなくなり、向きを変えて森へと引き返しだした。ところが、一旦泣き止んだ赤ちゃんが再び声を上げると、再び家に近づいてきて、赤ちゃんや周りに散らばったガレキを「すべて」取り除き始めたという象。大量に積もったベッド上のガレキを払いのけるなどして、改めて森へと帰って行ったそうだ。

象がいなくなってすぐに病院に運ばれた女の子は、ガレキが降ってきてできた傷はあるものの、幸い「危険な状態ではない」という。「家に損害を与えた後も、象が女の子を生かそうとしたのは驚くべきこと」というのは、地元レンジャーの話。興奮した状態にあった象が、赤ちゃんを見て襲うのを止めたのが信じられない出来事だったようで、このレンジャーは「象にも心があるようだ」とも話している。

別の野生保護職員も「人間が攻撃しない限り、優しい象たちは人を傷つけようとしない」と説明しているが、夫婦の家を襲った象は無垢な人間の赤ちゃんを見た時、元来の“優しい心”を取り戻したのかもしれない。


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