がんと闘う両親追った10か月、「2人の勇気と愛見せたい」と写真公開。

2014/01/15 20:18 Written by Narinari.com編集部

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米国のある女性カメラマンは一昨年12月、父親ががんと診断されたことをきっかけに、新たなプロジェクトを始めた。母親も数年前から乳がんを患っており、両親と過ごせる時間が残り少ないと悟った彼女は、できるだけ2人のそばにいたいと、がんと闘う両親の日常をカメラに収め始めたという。そして今、辛い時間をお互いに支え合ってきた両親の前向きな姿を紹介した写真の数々は多くの人の心を揺さぶり、話題になっているようだ。

米紙ニューヨーク・デイリーニュースなどによると、「Cancer Family, Ongoing」と題した34枚の写真を紹介しているのは、ニューヨークで活動している28歳の女性カメラマンのナンシー・ボロウィックさん。彼女は当初、2011年9月に母ローレルさんが3度目の乳がんを患って闘病生活へ入ったときに、「彼女の写真を撮れば、より多くの時間を共に出来る」と、母親を被写体にしたプロジェクトを始めた。ところが2012年12月、今度は父ハワードさんの体にもすい臓がんが見つかり、ナンシーさんは突然両親との“永遠の別れ”が同時に迫っている事実に気付かされたという。

そこで「2人と時間を過ごしたかった」ナンシーさんは、両親の日常を追うプロジェクトを始めようと決断。そして公開された34枚の写真には、感情豊かな2人が一緒に過ごした約10か月間の軌跡が映し出されている。写真を追うにつれ、2人とも髪の毛が抜け落ちてしまっているが、抜けた髪の毛をふさふさの眉毛のように見せて笑い合うなど、共に抱えた病気と一緒に乗り越えようとしている「勇気」が窺える1枚も。一方で身を寄せて慰め合うなど、苦しさが表れた写真もいくつか見られる。

ただ、「彼らが一緒にいて、楽しんでいる時間を見て来た」とナンシーさんが話すように、紹介されている写真には2人が明るい表情を浮かべているものも少なくない。その最たるものが、両親へウェディングドレス姿を見せるために、急遽早めたという、ナンシーさんの結婚式で撮影した最後の3枚。娘の晴れ姿を見届けた2人からは、病気を患っているようには見えないほど明るい雰囲気を醸し出しており、幸せな時間を過ごして気力も大いに養ったようだ。

これらの写真は先頃からナンシーさんの公式サイト(//www.nancyborowick.com/)で紹介され、彼女の元には両親が持っていた勇気と愛に触れた多くの人からの声が寄せられているそう。残念ながらハワードさんは昨年12月7日に天国へと旅立ったが、ナンシーさんは今、父の「大きな存在」を失った悲しみに暮れているという。

そして今回のプロジェクトで「2人には“強さ”があると気づかされた」とも。快く被写体になってくれた両親に感謝しつつ、これからもまだ残されている母との時間を大切に過ごすため、彼女はローレルさんの写真を撮り続けるそうだ。

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