10歳がカートに兄乗せマラソン、「兄の足になりたい」手紙にTV局協力。

2014/01/05 13:02 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


米オクラホマ州にある放送局に、昨年、1通の手紙が届いた。ニュース番組のキャスターに宛てた手紙の送り主は、同州に住んでいる10歳の少年。彼は脳性まひを患って自由に動けない11歳の兄が、日ごろ他の子供たちが外で遊んでいるのを見ると羨ましがって泣く姿を見て、一度外の空気を一緒に感じたいと思うようになり、兄をカートに乗せてマラソン大会へ出てみようと決めたという。ところが大会を目前に控えても、兄を乗せるのに充分なカートが用意できず。困った少年はテレビでよく見ていた大人たちの協力を仰げないかと思い、手紙を送ったそうだ。

米放送局CBS系列KWTV-DTや米紙USAトゥデーなどによると、この手紙を送ったのは、オクラホマ州に住むトゥバイアス・バスくん。脳性まひを患う兄タイタスくんと仲良しの彼は、体を動かせずに悲しむ兄と一緒に外の雰囲気を楽しみたいと思い立ち、地元の高校で開かれる5キロのマラソン大会に出場しようと決めた。柔術などを習い、昔から体を動かすのが好きだったトゥバイアスくんは、早速マラソンのトレーニングも開始。兄を押しながら走るだけの体力には自信があったという。

ただ、順調に自分のコンディションを整えていく一方で、弟は唯一の問題をなかなか解決できず困っていた。それは、兄を気分よく乗せられるカートが手に入らないこと。トレーニングでは、兄タイタスくんを乗せるベビーカーを用意はしたものの、乗せるまでもなく明らかに「彼の体に合っていなかった」そうだ。少し大きめのカートを買いたくても、家の経済的事情を考えれば「そんな余裕はない」と悩んだ弟。そこで彼は、兄の体に合うカートを貸してくれる人がいないか広く呼び掛けてもらおうと、いつもニュースでよく見ていたKWTV-DTのキャスター2人に協力を求める手紙を書いた。

「僕は兄の足になりたい」――そう綴られたトゥバイアスくんの手紙。強い気持ちを表す長い文章の手紙に、テレビ局ではキャスターたちだけでなく、多くの関係者が力になりたいと考えたという。そこでテレビ局側は、オクラホマ州立大学で障がい者を援助する器材の技術開発を行っているセンターの関係者と接触。タイタスくんでも乗れるカートを製作してもらい、マラソン大会前日、“これからも2人で楽しめるように”と兄弟にプレゼントした。

そして迎えた、本番の日。前日にもらった専用カートに乗って喜びを露わにしながら風を感じる兄を押し、弟は5キロのコースを走り切って、2人は一緒にゴールを果たした。一連の様子は、昨年、手紙の宛名に書かれた2人のキャスターが伝える形でKWTV-DTのニュース番組で紹介。ほかの米メディアでも広く取り上げられ、2人の兄弟愛に多くの感動の声が上がった。

将来は軍に仕える聖職者として、兵士たちを慰めていきたいとの夢を持っているというトゥバイアスくんは、これからも2人でのマラソンを続けていくつもりだそうで、心優しい彼の存在をきっと兄も“最高の弟”と頼もしく思っているに違いない。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.