フランスに“今の日本”売込み、マグロの解体ショーに絶賛相次ぐ。

2013/09/24 03:09 Written by Narinari.com編集部

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年々来場者数が増え、ヨーロッパ最大の日本文化とエンターテイメントの祭典となった「ジャパンエキスポ」で知られるように、フランスはもはや“日本”を楽しむことにかけてはかなりの通であるとも言える。そうしたフランスの人たちに、よりリアルな“いまの日本”を体験してもらおうという意図のイベント「Tokyo Crazy Kawaii Paris」が、9月20日から22日にかけてパリで行われた。ナリナリドットコム取材班も現地の反応をうかがうべく、会場を訪れてみた。

パリの南東にあるヴァンセンヌの森、のどかなパリ花公園の中が「Tokyo Crazy Kawaii Paris」の催事場。「ジャパンエキスポ」の大きさに比べれば、かなりコンパクトな印象だ。「ファッション」「音楽」「グルメ」「アニメ&ゲーム」「キャラクター(雑貨)」の5ジャンルのコンテンツがSHIBUYA、HARAJUKU、SHINJUKU、AKIHABARA、TSUKIJI、NIPPONのエリアに配置されており、入り口すぐには渋谷109のアパレルブランドなどが立ち並ぶなど、女性客を惹きつけている。

「ジャパンエキスポ」では多く見かけるマンガやアニメを総合的に取り扱う物販テナントはなく、ハローキティやセガ、ガイナックスといった1つのブランドがそれぞれのテナントを出しており、訪れる人たちの嗜好が問われているという印象を受ける。

店舗以外には茶道のワークショップや子供用の着物試着といった体験型ブースが賑わっており、「モエカワ(ハート)カフェ」と呼ばれるアキハバラテイストのカフェも熱烈なリピーターを集めていた。

通訳のいるテナントもあったが、訪れたフランス人は良い意味での“日本慣れ”した様子が見て取れ、販売に携る人も若い年代が多く、言語を超えて和気藹々としている。

しかし、フランスの老若男女すべてを満足させていたのは築地エリアだ。その中でも「がってん寿司」が行ったマグロ解体ショーはこのイベント全体を通じて最も観客を魅了させていた。

地中海で獲れたというホンマグロ。つやつやした美しい質感を前に、TVチャンピオン2連覇に輝く寿司職人の青木崇さんが鮪包丁を取り出すと歓声が上がる。刃を入れて、マグロの向きを変えるときにはギャラリーに呼び掛けて、その重さを直に感じてもらおうという心憎い演出だ。

頭を落としてその大トロの部分を掲げると、観客が一斉に写真を撮る。10分ほどで解体の主な部分は終わってしまったが、見ていたお客のほとんどが即座にそのお寿司を買うために食券を手に入れに向かった。

大トロの入ったお寿司は20ユーロ(約2,663円)。決して安くはないが、何人かのフランス人に聞いてみたところ「見ているとなんだかどうしても買わないといけないという気分になってしまった」「生まれて初めてあんな大きな魚を見た。とても硬そうに見えたのにとても柔らかくて美味しい」「日本人はいつもああいう寿司を食べていて羨ましい」といった絶賛の声が聞かれた。

商品部部長の須田さんによれば、「がってん寿司」は中国などでも複数の店舗を出しているが、受け入れられている理由は、日本で愛されている寿司をそのまま提供することだという。

同じことを、阪神タイガース公認「猛虎うどん」の販売などで知られる、讃岐うどんの「こんぴらや」社長の辻田さんも語った。今回フランスに出店するに当たって、藍と梅で着色されたトリコロールうどんを販売するなど、フランス人に受け入れられやすいような工夫は見せているが、あくまで日本と同じものを食べて喜んでもらいたい、とのこと。考えてみれば「ジャパンエキスポ」にもときどき日本食のお店は出展しているが、こうした本物志向のお店はなかった。

イベント最終日終盤には、稲田朋美クールジャパン担当大臣(54歳)が身体を張った見事な装い(ゴスロリ)で、日本をもっと知って欲しいとアピール。まだ始まったばかりのこのイベント、うまく育てて行って欲しいと願うばかりだ。

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