2歳で33kgの男児に胃切除手術、今後への影響は医者も「分からない」。

2013/09/20 19:07 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


成長が著しい分、子どもは多少太ってるくらいでもよく食べるのが一番、と言えるうちはまだ幸せな話。以前、サウジアラビアでは、医者に相談しなくてはいけないほど極度の肥満に陥った2歳の男の子がいたという。1歳2か月で21.3キロあった体重は、ダイエットの効果もなく増え続け、2歳になった時点で33キロにまで増加。足の骨の湾曲や睡眠時無呼吸症候群など、体にも悪影響が出始めたため、医者は胃を小さくする切除手術に踏み切ったという。最近、この事例が医学専門誌上で明らかにされ、2歳児に切除手術を行った例は恐らく初めてと見られることから、専門家の間で大きな注目を集めているそうだ。
   

豪スカイニュースなどによると、2歳男児に胃切除手術が行われた事例は、先頃、医学誌「International Journal of Surgery Case Reports」上で発表され、明らかにされた。手術はサウジアラビア・リヤドの医療施設「プリンススルタン・メディカルミリタリーシティ」で2010年に行われ、担当した3人の医者がその後の経過も含めた報告論文を執筆し、医学誌に寄稿したものだという。  

その論文によると、手術を行った男の子が初めて病院へ相談に訪れたのは1歳2か月のとき。すでに体重が21.3キロあった男の子に対し、最初に携わった別の医者は4か月間にわたるダイエットプログラムを組み、減量を試みた。しかしプログラムが終わった段階で、残念ながら彼の体重は8キロ増加。そこで男の子は肥満専門のクリニックにも通い、新たなダイエットプログラムを課されたものの、やはり効果は見られず、終了時点では体重33キロに達していたそうだ。

この頃になると贅肉が付きすぎて、もはや破裂する直前の風船のような体型となった男の子。重さに耐えられない足の骨が曲がったり、中年男性のように睡眠時無呼吸症候群が起きたりするなど、肥満による健康への悪影響も現れ始めていた。そのため3人の執刀医は、男の子の肥満は「遺伝性の要因によるものではない」と判断した上で、腹腔鏡による胃切除手術の実施を決断。男の子は、この手術を受ける“世界で最も若い人”となった。

そして、手術は無事に成功。男の子の体重は2か月で15%減少し、睡眠時無呼吸症候群も大幅な改善が見られるなど手術の効果が著しく表れ、手術から2年経っても体重は24キロと、肥満度は正常の範囲に落ち着いた状態になったという。

ただ、2歳の子どもに胃切除手術を行った事例は恐らく初めてとあって、専門家の間では「手術が子どもの成長にどんな影響を及ぼすのか全く分からない」として、彼の今後が大いに注目されている様子。報告論文の中で3人の担当医も、肥満に悩む幼い子どもたちにも胃切除手術は有効との考えを示しつつ、「さらに長期間にわたって調査し続ける必要性がある」と経過観察の重要性を認めており、今後も男の子は世界の医療関係者から注目され続ける存在となるようだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.