尿で延焼防ぎ飼い主助けた犬、第二次世界大戦中のあるエピソード。

2013/09/13 10:51 Written by Narinari.com編集部

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先日、英国のある競売人は、資産整理に訪れた家で価値がありそうな2枚のメダルを発見した。輝きも鈍るほど時を重ねたそのメダルから分かったのは、授与されたのが、第二次世界大戦を生き抜いたジュリアナというメスのグレート・デーン犬だったということ。ジュリアナは戦時中に、家の中に落ちて来た焼夷弾を尿で消火、飼い主の命を助けた功績が認められ、表彰されていたそうだ。

英紙デイリー・テレグラフや英放送局BBCなどによると、ジュリアナのメダルを見つけたのは、英南西部のワットンアンダーエッジにある競売場職員のフィリップ・タウベンヘイムさん。資産整理を行う家に出向いては「宝を探し出す」のも仕事の1つと語る競売人の彼は、先日、近隣の街ブリストルにある住宅で、いつものように“宝探し”に精を出していた。その時、住宅所有者の親戚が飼っていたというジュリアナの「2個目のメダル」を見つけ出したそうだ。

ケースに入れられたメダルは、1897年に創設された英国の動物保護団体ブルークロスが、勇敢な行動をした動物たちを表彰するために贈ったもの。メダルには、ジュリアナが1944年に飼い主が営んでいた靴屋で、火災にいち早く気付いて主や客に危険を知らせた、との受賞理由が書かれていた。さらにメダルケースには、彼女が「1941年にも受賞していた」と書かれていたため、タウベンヘイムさんは後日再び住宅を訪れて改めて捜索にあたり、1個目のメダルも見つけ出したという。

そして、1個目のメダルからジュリアナの“注目に値する話”を知ったというタウベンヘイムさん。そこには、1941年にドイツ軍の落とした焼夷弾が飼い主宅の屋根を突き破って家の中に着弾した際、ジュリアナが尿をかけて延焼を防いだ、とのエピソードが記されていたそうだ。その話を知った時、「こんな聞いたことがない」と驚いたという彼は、素晴らしい話が込められた“宝物”を競売に掛けることで、ジュリアナの存在を世に明かした。

結局、2枚のメダルは「1,100ポンド(約17万円)」で落札され、競売人としての仕事もきっちり果たしたタウベンヘイムさん。飼い主の命を2度守ったジュリアナは、戦争を無事に生き抜きながらも、終戦翌年の1946年に飼い主宅のポストに置かれた毒物によって命を落としたという。悲しい最期を迎えたのは残念なところだが、時を経てもその活躍と存在を記憶に残し続けることが、ジュリアナに対するせめてもの供養に繋がるのかもしれない。

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